大和但馬屋日記

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神の御業、天才の業

プラネテス」四巻(幸村誠,講談社,ISBN:4063289370)

三巻のハチマキがタナベにプロポーズするシーンでも思つたのだけど、人はどうしてこんな奇蹟を起こせるのだらう。帰りの電車の中で最終章を読んで、二九三ページで堪へきれずに吹き出してしまひ、最後にジンとしてしまつた。怪しい乗客だ。
その最終章への場面転換に四コマの「超外伝」を使つて、登場人物のフォーカスを移してみせるところまでが奇蹟的だ。すごい。
これほどまでに完璧な仕事であればこそ、三〇四ページの誤植は甚五郎の忘れ傘や陽明門の逆柱の如くわざと為されたものなのではないかと思つてみる。さう、これはこの作品が未完である証なのだ。
どんなに時間をかけてもいいから、第二部を読ませてほしいものだ。「ダークウィスパー」のおかげで十年くらゐなら待つことに慣らされてゐる。タナベだつてあと五年半以上は待たされたくなからう。