大和但馬屋日記

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子供向カルチャーとオタクをつなぐもの

実際のところ、私自身ターゲットでない立場から垣間見ただけなので詳しいことは覚えてないのですが、たぶん小学館の学年別雑誌だつたのでせう、そこに歴代のライダーたちが元の番組と切り離された形で設定を与へられカテゴライズされた解説ページがありました。たぶんファミコンで「仮面ライダー倶楽部」なるSDもののゲームが発売された頃だと思はれます。同時期のSDガンダムのムーブメントについてはキーワードの解説が非常に参考になります。ウルトラマンについてはウルトラファイトもさうですし、レオ以降アニメのザ・ウルトラマンまでの空白期には内山まもるの独自の世界観を持つたマンガが、「80」終了後にはアンドロメロスウルトラマンキッズが間を埋める様に存在してゐます。
この辺のことについては望月さんには釈迦に説法でせうが、既に仰る通りまず商品展開ありきで企画が存在するわけです。マンガやアニメ、特撮ですらその販促素材でしかないとも言へる。富野監督もガンダムをクローバーの超合金を売るための宣伝マンガにすぎないと語つてゐます。
まあ、グタグタ言はずに今すぐ本屋に行つてコロコロやボンボン、小学n年生などの雑誌をめくれば分ることで、今なほオリジナルコンテンツを解体し再構築したキャラクターが山ほどゐるはずです。今ならマリオ、カービィポケモンボンバーマンロックマンといつたゲームキャラが主流でせうから、もはや中心となる物語など初めから存在してゐません。一旦これらに目を向ければ、「セングラ」ですら特殊なケースとは言へなくなる。対象が「大きなおともだち」に変つただけのことで、どこぞの広告代理店にしてやられてゐるだけです。
また、「ウルトラマン」の昔から子供向け番組である故の制作者のジレンマなども散々語られてゐるわけで、劇中でイデ隊員が「どうせ俺たちがいくら頑張つてもウルトラマンが怪獣を倒してしまふんだ」と拗ねてみせるのは作家達の本音を端的に表はしたものでせう。さうしたものを観て育つた庵野監督が自ら「帰つてきたウルトラマン」といふ自主制作フィルムを撮つたことを考へれば、エヴァンゲリオンがまつたく突然出現した異種でなかつたことは想像できるはず。
子供向け漫画誌からはポケモン公認漫画から萌えアニメのコミカライズや鬼畜なエロマンガまでこなす小野敏洋といつた作家も現れてゐますね。
エヴァを起点にオタク世相を斬るだけでは足りないといふ感覚は、これらのカオスとしか言ひ様のない「商品」群が現在二十代から三十代のオタクに与へたはずの影響が全く無視されがちな点にあると思はれます。
それに比べれはまだ「でじこ」の特殊性の方がよほどはつきりしてゐますが、それすらも今では子供向け商品群の中に自ら埋没しようとして失敗してゐる最中ですね。
結局のところオタクカルチャーを語るには「子供」の存在が不可欠なのでせう。もちろん今では完全に子供向けでない作品も沢山存在しますが、それらばかりに目を向けてオタクについて語つたところでこぼれ落ちるものの方が多さうで大した意議を感じません。