大和但馬屋日記

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期待

なんかやたらと「期待」といふ言葉を目にしたここ数日であることよ。
大抵の場合,使はれる文脈は二通りしかない。

期待したこちらが馬鹿だつた・期待したのは無駄だつた

この種の言葉が出た場合,もとより期待などしてゐないのである。相手を貶めるための下劣な言回しだ。

期待したのに裏切られた

その期待に根拠はあるのか。なぜ裏切られて傷つく様な期待の仕方をするのか。互ひに信頼関係にある相手なら期待しても良いだらうし,仮に期待にそぐはなくてもさういふ間柄なら傷つくこともあるまい。
そもそも期待といふのは「かうなればよい」といふ願望であり,一方的なものだ。期待をかけるといふのは博打みたいなものであつて,当たればラッキー程度に構へてゐればよい。一方的な願望が叶はなかつたからといつてその対象を非難するのは馬鹿げてゐる。たぶんさういふ人は,博打で擦つても博打に手を出した自分を責めることはないのだらう。
勘違ひされると困るが,約束や契約が守られないこととはわけが違ふ。約束や契約は守られるべきものであり,そこに期待の入り込む余地はない。ところが,契約関係にあるわけでもないのに「期待が裏切られた」と偉さうにしてゐる人が何だか目立つ。それははつきりいつて勘違ひだ。
もちろん人間は常に何かに期待せずにはゐられない。しかしそれはいつでも無条件に叶へられるべきものであり得ないと心得ておけば,無用に腹を立てることもあるまい。さらに,それを知つた上で常に誰かの期待に応へるべく行動する人は,真に尊い