大和但馬屋日記

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3Dと2Dの境界

id:takanabeさん経由で,ユニプランの触覚ディスプレイなるものを知る。大変面白い,といふか可能性を感じる。2D情報を立体に置き換へて,視覚障害者でも映像情報を得られる仕組みといつたところか。ただ単にアイテムとして面白い。
しかしここで疑問に感じたことがある。

近い将来、モバイル機器への搭載が可能となると、点字ブロックの視覚化が可能となります。

上記の説明とともに,モバイルカメラで撮つた映像を触覚画像に変換する様子をGIFアニメで解説してゐるのだが,この触覚画像に変換された絵をみて不思議に思はないだらうか。
そこに現れた絵は三次元空間をカメラで撮影して透視変換された二次元画像である。だから当然,近くのものは大きく遠くのものは小さく,パースがかかつた絵になつてゐる。視覚的に物を捉えた場合,この絵になんの不思議もない事を我々は経験的に知つてゐる。しかし,視覚情報を得た経験のない人がこの画像に触れたときに,それは空間把握の役に立つのだらうか。解説の画像に表れた斜めに走る線が,実際は自分の前方の地面に引かれた奥行き方向に伸びる線であると認識できるのだらうか。
視覚に障害がある人の空間把握がどのように行はれゐるかをイメージするのは,オレには恐らく不可能だらう。仮に今後失明することがあつても,今までに見た映像の記憶を頼りに空間把握することになるものと思はれる。このディスプレイがさういふ人の役に立つのは間違ひないだらうが,視覚に頼らずに空間を把握する能力を持つた人に透視変換の概念を理解してもらふのは,それはそれで難しいだらうなと思つた次第。