大和但馬屋日記

はてなダイアリーからの移行中

玉姫社

玉姫社

集落の西の端の小高いところに,家々を見下ろすように鎮座する小祠。これも粗末なバラックの様な小屋が設へられてゐて,中に千羽鶴が飾られてゐるせゐもあつて如何にも姫神らしい雰囲気だ。
何より目を引くのは祠に無造作に並べられた手鏡で,もうそのほとんどが曇つたり割れたりしてゐるのが不気味ではあるが,これはどうした由来によるものか。
「鏡 玉姫」で検索をかけると真っ先に出てくるのは浅草の玉姫稲荷だが*1,これは土地に密着した伝承によるものなので瀬戸内海の小島にある祠とは関係なささうだ。そもそも玉姫とは何ぞやと思つて調べてみてもよくわからない。玉依姫豊玉姫,白玉姫,櫛玉比女命など似た名前の神が各地に祀られてもゐるが,関係があるのやらないのやらどうもピンとこない。
あまり深く考へずとも,姫神だから鏡であるといふ単純な連想なのかもしれない。もとより鏡とはそれ自体が神聖なものであり,神社の拝殿中央に大鏡を祀るのは当り前のことだ。ともあれ,誰かそろそろ新しい鏡をお供へして差し上げたらどうか。大きな世話か。

*1:といつて,玉姫稲荷でぐぐると大阪梅田の方が先に出るんだけど

キーワードとは何か,あるいははてなダイアリーとは何か ver.4.1.5

キーワードを巡る事件に対して相変らず色々な意見が出てゐるが(そしてそのことが無意味だなどとは毛頭思はないが),ただやはりキーワードシステムといふものに対して「かうあるべきだ」と言及する場合に,それがどんなにはてなコミュニティのためと思つた末のことであつてもなほ個人的な思ひ入れにすぎないことは忘れない方が良いと思ふし,それが正しいといふ保証もない可能性を念頭に置いておくべきだと思ふ。
少し引いた視点で見ると,キーワードシステムを巡るユーザーの行動は,登録・削除・自動リンクの可否・ユーザー間の揉め事の経緯から帰結などを全部含めてはてなの思惑の内にあると考へるのは不自然ではない。ここまで動的で制限の緩いシステムを用意して,「緩すぎる」といふ批判に対しては腰の重いままに一年間稼動させてゐたといふことは,つまりさういふことだらう。最終的にシステムが破綻するならするで,それも一つの結果にすぎないとさへ言へる。
いふなれば我々ユーザーは「シム市民*1」である。シム市民たるユーザーは自分たちのことをゲームプレイヤーだと思つてゐるが,本当のプレイヤーははてなの近藤氏であり,ユーザーは観察対象にすぎないのだ。プレイヤーは多分今のところ破滅的なゲームオーバーを望んではゐないから,極端にパラメータ異常を起こす要素については操作を加へるが,基本的にはあまり干渉する気はないらしく,動的に変化するコミュニティの様相を静観してゐる。市民間の争ひによつてどちらか一方が傷ついたり退場する様なことになつても,一方に肩入れしたりはしない。かう書くのは簡単だが,実際それを実践するのは大変だ。オレには到底できない。
そして,ゲームのシステム全体が育つてきたところでそのシステムを商品として売る。シム市民がはてなに貢献してゐるとすれば,細かいポイントのやり取りによつてではなく,まして理想的なコミュニティを築くことなどではなく,正邪含めてただシステムを運用してゐるといふ一点においてであらう。ただでこき使はれるテスターなのだよ我々は。と,別に自虐的または冷笑的になつてゐるわけではなく自然にさう思ふ。こちらは便利な機能を便利に使はせていただいてゐるし,それなりに楽しい出会ひもあるしで別に不満はない。シム市民であることが気持ち悪く感じたらその時はシム世界から出て行けばよいことだ。その権利だけは我々に保証されてゐる(‥‥と思ふ)。はてなダイアリーを胡散臭く思つて使はない人は,直感的にそこのところに気付いてゐるのかもしれない。
さういふ風に捉へれば,「理想的なはてな社会」のやうなものがあるわけでも,はてながそれを目指してゐるわけでもないことが少なくともはつきりする。もちろん,だからといつて何をしても良いわけではないし,シム市民としての環境保全には努めたい。しかし,「自分の考へは正しいに決まつてゐるからはてなは自分の要望を叶へるべきだ」などとはてなに対して期待*2するのが如何に報はれ難い行為であるかはわかるのではないか。このシム世界に目指すエンディングがあるのかどうかは不明だが,ともかくプレイヤーが望む方向と一シム市民の要望が一致してゐる保証などどこにもないのだ。
などと如何にも新事実を発見した様に言つてゐるが,実際「今さら」の類の話である。どこだつたか忘れたが,近藤氏によるこれに近い趣旨の発言は一年前のベータテスト時代に既にあつたと記憶してゐる。閑話休題
もちろん,だからといつてシム市民が考へを放棄すべきだなどとは言つてゐない。声を上げるべきでないとも思はない。ただ,自分の正しさを無条件に保証してくれる存在などないことは知つておくべきだと思ふ。そしてそれは,はてなに限つた話でも何でもなく,社会全体に言へることなのだ。

*1:はてなダイアリー市民』とは無関係

*2:参照:id:yms-zun:20031228#1072594724