大和但馬屋日記

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他の人の上げた動画に映る自分を見つけた。かう見えるのか。

機動戦士ガンダム」ブルーレイ版で「時間よ止まれ」。ここにTV版ガンダム屈指の名カットがある。

チルダ中尉、二度目の登場回。自分がこの絵を初めて目にしたのはケイブンシャの大百科のカラー口絵で、その時の印象ではホワイトベースのブリッジのスクリーンに大映しにされた宇宙空間の映像を背景にマチルダさんが立つてゐるのだと思つた。月と小惑星の映像に如何にもなグリッド線が被つたモニターグラフィックの様に見えるだらう。再放送を見ると実際はさうではなく、地球上の何処かの谷間にネットを張り、蔓草の葉で偽装した中にホワイトベースを隠して夜営してゐるシーンで、月の様に見える黄色の光の円は照明装置のフレアの表現なのだつた。
このシーンの前にはジオンの前線基地で若者達が手柄を上げて本国に還る為の算段をつける場面があり、そちらでは燈火に虫が群がる様子が描かれてゐる。同じ野外の夜でも前後のシーンで燈火の描き方が随分と異なる。マチルダを照す灯りは幻想的で、まるでマチルダ中尉が後光を背負つてゐる様にも見える。
それもその筈で、この絵は憧れのマチルダさんを一目見ようとブライトとマチルダが話してゐるデッキに梯子で這ひ上つたところを見咎められたアムロの主観視点で描かれてゐるのだ。何と神々しい姿か。少女漫画ならヒーローが薔薇を背負ってキラキラパーティクルを飛ばしてゐるところだ。何ならギャグ的な演出としてその様にしても許されるくらゐだらう。そこにリアリティを崩さない範囲でかうした構図を持つてくるセンスが素晴しい。アムロにとつてマチルダさんがどれだけ美しく見えてゐるかが一発で判る、五本の指に入る名カットだと思ふ。残り四本分について数へ上げるつもりはない。