大和但馬屋日記

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データなし

F1オーストラリアGP予選。先日危惧した通りにQ1スタートから混乱がみえた。ピットレーン出口の取合ひで始まり、各車先を争ふ様にコースイン。まあ、これはいい。残り九分から九十秒毎に最後尾の車がノックアウトになるシステムが大問題だ。セッション最後のチェッカーフラッグとは意味が異なり、ノックアウトのタイミングが来た時にアタックの途中であつても、そのアタックの内容に関らずその時点でアウトなのだ。実際、グティエレスはアタック中にノックアウトとなつたが、その時のアタックで出したタイムは余裕でQ2進出できるものだつた。一周が九十秒弱のサーキットで「あんたが九十秒後にノックアウトね」と宣告されても、その時にアタックラップの最中でなければもう絶対に間に合はないのだ。
ノックアウトの当該車だけならまだしも、その一つ上の車でさへピットから出たばかりだと次の判定タイミングに到底間に合はないといふ状況が頻発して、ノックアウト決定の夕イミングでは当該車がコースに出てすらゐないのが普通になつてしまつた。鈴鹿やスパくらゐになると、ノックアウト予告の二台上のマシンですらアタックに間に合はないなんてことになるかもね。この状況を打開するにはコースに長く留まつて疑似レースの様にアタックを続けるしかないが、さうするには決勝まで含めたタイヤの使用セット数制限が邪魔をする。仮に走り続けたとてもレースと違つて他車のアタックを妨害する訣にはいかないから、コース上での揉め事も増えさうだ。
そんな風に諸々の要素が積重なつた帰結として、セッションの残り四分半を切つたあたりで概ね順位が確定してしまひ、セッション終了間際のアタック合戦が起らないどころか、二分以上余したところで走行するマシンがなくなつてセッション終了時間をただ待つだけになつてしまつた。Q1、Q2はまあさういふこともあるだらうと誰もがある程度予想したとして、問題はQ3である。
誰だQ3にまでノックアウトを採用した馬鹿は。
タイム下位のチームは当然最初からタイムアタックをする。さうなると上位チームもタイムを出しておかないとノックアウトになるから早めにタイムを出す。上位チームだから当然トップタイムを記録する。時間の経過につれて下位が落ちていく。レースにタイヤを残したいから中位勢もそんなにアタックできないし、ちよつと頑張つてみたところでどうせ上位四台くらゐには届かない。だからやつぱり走らない。中位がタイムを出さないのだから上位に走る理由がない。時間と共に勝手に下が落ちていくのだからセッション終了までに万一逆転される心配もない。結局、「最初に速い夕イムを出した奴が最後まで順位を脅やかされることなくポールを決める」といふことになる。
果して白熱する筈だつた予選Q3は四分を残して誰一人コースに出ることもなく順位が確定することになつた。つくづく、このルールを考へた人は馬鹿ぢやないのか。何でQ3の最後の一人になるまでノックアウトさせようなんて思つちやつたかなあ。
ハミルトンはそれでも偉いもので、セッション前半に出したタイムで充分だつたのに一回余分にアタックを行ひ、アルバートパークサーキットのコースレコードを六年振りに更新してみせたが、こんなのはただの余禄である。流石に関係者もザワついてるんぢやないかなこれは。