大和但馬屋日記

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yms-zun2014-01-12

ゼロ・グラビティ」を友人を誘つて観てきた。
いやあ、映画つて凄いもんですねえ、と心から思つたね。最初から最後まで全部一つのカットで繋いでしまふのかと思つたら流石にそんなことはなかつたけれど、ただの実験映画でない作品でここまでやるのは相当なチャレンジだつたと思ふ。
「普通の映画」とは異るテイストの、主人公の主観を逸脱しない視点とシナリオの運びは、スピルバーグの「激突!」を思ひ出させた。さう、この映画は現代版「激突!」だと言ひ切つて良いと思ふ。感動? ストーリー? 犬に喰はせろ。
航空宇宙工学的視点で見るとをかしな点は山ほどある。殊に「ゼロ・グラビティ」は物理的には問題あれど演出がたいへんすばらしい - Imamuraの日記で「山の遭難」に例へられてゐる部分は全くその通りで、一体彼はどこへ落ちて行つたのだらうかと首を傾げざるを得ない*1
さういふ意味で、これは「リアルな宇宙」をきちんと再現した映画とは言へない*2のだけれど、まあそれでもこれは凄い映画だと思ふ。
音の使ひ方も実に巧みだつたが、所々でわざとらしい盛上げが過ぎて、辟易した部分もある。「来るぞ来るぞ」といふところで無駄に煽り過ぎなんだよな。サスペンスホラー的といふか、さういふところがやはり「激突!」なのだなと。
そして、さういふ映画としては途轍もなくよく出来てゐたな、といふのが「GRAVITY」といふ作品の感想なのだつた。
何より、女優さんが凄かつたね。映画は殆どCGだつたとしても、彼女は確かに本当の宇宙を旅して帰つてきた。それだけは間違ひないと思つた。

*1:せめてパラシュートのテザーの根元を支点に激しく振回されてゐることにでもしてゐれば良かつたのに

*2:あのシーンがシナリオ上の山場でなければここまで言ふ必要もないのだ、本当は