大和但馬屋日記

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yms-zun2012-05-21

雲がなければ即死だつた

お返事。全文引用します。

恐ろしいほど遅れてすいません。
ええと、かなり経ちましたが『問題に上がった後、すでに始まっていた企画を、告知していた日数分続けたことが気に入らない』ということでしたね。突っぱねるなら徹底して突っぱねるべき、と。

しかし、法に抵触していることを一番の問題とするならば、違法という判断が既に下されているのならば、やはり即日警察が動いているべきではないかと思ってしまいます。まず「調整してやると言っているのだから、この場は素直に引っ込めとけばいいだろ」と言う側が、どうしても不自然に感じます。
業界を潰さないようお目こぼしするということは、そもそも「法を必ずしも守らなくても良い」と言っているようで。パチにおける見え見えの脱法換金は「警察と折り合いつけたからOK」 そこにある違いというのは、結局、法ではないのですよね。まあ、そもそもソーシャルゲーは金銭を得る賭博ではないので比較するべきではないのですが。
結局、多くの人が問題にしたいのは『絵合わせ景品がどう悪いのか』ではなく『高額の金銭が短時間で失われること』ですよね。だったら「ただ迂闊に大金を使ってしまう危険性」のみを問題にし、ストレートにその方向から議論した方がいいのでは、と思いました。
まあ、そう考えると、購入者以外が怒りを覚えることが理屈に合わなくなってくるので「法が」とせざるを得ないのかもしれませんが……。

念のため。
ソーシャルゲーを正しいゲームの形とは思っていませんが、自分はゲームソフト1本買う程度の代金でシンデレラガールズを楽しんでいます。キャラクターを絵とテキストを楽しむのが目的なので、言うなれば、エロゲ・ギャルゲと同じものかなと思います。
決して擁護するために質問したのではなく、「あれだけ好きであったアイドルマスターを寸゛さんの中から消す」ほどの要素はどこにあったのか知りたい、と思ったのでした。
実際は、アイドルマスターのタイトルを冠するコンテンツ(すでに別物ではありますが)が望まぬ広がり方をしていることが一番問題だったのではないでしょうか。
私はそれを、自分の中の正しいオタクの姿であると思うので、寸゛さんからそういう言葉を聞きたいと、勝手に思ってしまっただけなのかもしれません。
あー、擁護する気はないと言いつつ。むかーしむかしに作られた法規が、その時想像だにしていなかったケータイコンテンツにそのまますべて適用するのも不思議な話だな、と思う分もありますので『法は絶対』ではなく、その中身を議論する余地もあればよいな、と思いました。

以上、長々と失礼しました。

正直なところ、冷めたものに対しての冷めた理由を合理的に説明することに意議を見出すのは難しいですし、冷静に理由を並べる内に「冷めた」だけのものが「嫌ひ」に変つて行くのが辛くもありますし、何より好きなもの、好きであつたものを悪く言ふのも言はれるのも愉快ではないと解つてもゐるのですが、購入者以外が怒りを覚えることが理屈に合わなくなってくるので「法が」とせざるを得ないのかもしれませんがと言はれた以上は多少なりともお答へします。よりによつて茉森君(君付けですみません)と「アイマス」を肴に初めて踏込んでする話がこの様な内容であるといふ事実には、本当に本当に悲しみを覚えます。
うまく切出せませんが、まづは論点を「違法性」に絞ります。私や別に清廉潔白な人間ではありませんし、「違法だから赦せない」などとも思つてゐません。その一方で、今回の「コンプガチャ景品表示法で禁止されてゐる『絵合せ』に相当する」とする内容の妥当性にはぐうの音も出ないし、それを今持出されたことについても大して不自然だとは思はないのです。昔の法だからといつて金取つて物を売つてるケータイコンテンツに適用できない理由の方が思ひ付きません。無形なサービスの貸与だ何だと巧く言ひ抜けてきたけれども、足許がお留守だつただけのことでせう。少なくとも、法の条文によつて禁じられなければ発生するであらう問題が現実に発生してゐるといふ事実を否定するのは難しい。
自分は、人間とは不完全なものだし、ずるいものだし、社会が悪意に満ちてゐることも受容れた上で、尚どちらかといへば善意の生き物だと思つてゐます。それ故、自分を含めて程度の差はあれ「大間抜け」だと思つてゐます。大昔の法に真向から反してゐたことも、それに当事者が気付きもしなかつたことも、本当にただの間抜けとしか思つてゐないのです。だつたら有無を言はせずガサ入れしてお縄にすべきだと言ふのは、まあ、正しいのでせうが、その辺に発生する(例へばパチ絡みの)矛盾について、一刀両断にする見識はありません。薄汚いと罵られても仕方ないですが、今のオタコンテンツの大部分はそれに乗つかつてゐるといふ事実もあつてその濁りを全否定はできない。周り周つて自分の血肉の元でもあるから。ともあれ「違法」のレッテルに対して有効と思へる反論は公に出てこなかつた。法が法だからではなく、何も言ひ返せなかつたことが重要。
それに乗じて槍玉に挙げられたのが「アイマス」を冠するものであつたことについては、まあ悪目立ちをしたのだから仕方ないと諦めて、しかしそれを擁護する理由も動機も何一つ自分にはないと気付いた。それだけならまだしも。ここからはもう感情の話です。
その悪目立ちをした「アイマス」が「今」できることは? 作つたコンテンツを一旦取り下げて、「より良く」することはできなかつたのか? 自らに向けられた奇異の目をどうやつて撥ね返せるか、考へる時間も頭もなかつたのか? あるいは「そんなことをする必要はない」といふ決断はあつたのか? あつた、と信じる根拠があつたなら御免なさい。そこで採られた行動が、他ならぬ「平常運転病」そのものにしか見えなかつたことに、自分は、私は、いや俺は失望したんです。
「平常運転病」とは何ぞや、そんな言葉があるのかといふと、たぶんありません。別の友人が日記でポロッと使つた言葉をここで勝手に引用させてもらつてゐるだけで、故に元の言葉からも意味がズレてゐる可能性は否めませんが、ともかくもそれは「駄目」なんです。自分の解釈では消極的な善意に基く、最も悪い形の顕れこそが「平常運転病」。正しさを主張もせず、何事もなかつたかの様な顔で、いつもの仕事を淡々とする。普段の自分そのもので、こんなことを言ふのはものすごく身勝手だとは自覚してるけれども、その駄目なことをたぶん「大人の事情」でやらかした。それで、たぶん世の中の誰も不幸にはなつてない。だつたらいいぢやないか。さうですね。無感情に「平常運転」で為されたことに対しては、俺も無感情に、いつもの貼りついた笑顔でさう応へるしかない。さうなつた時点で、もう喜怒哀楽をぶつける対象ではなくなつてしまつた。うん、自分でも訣が訣らない。
その根本が実際は、アイドルマスターのタイトルを冠するコンテンツ(すでに別物ではありますが)が望まぬ広がり方をしていることが一番問題だったのではないでしょうかと仰るならさうかもしれんです。顔を真赤にして「違ふ」とは強弁できない。「望まぬ広がり方」がソーシャル展開そのものを指すのであれば、違ふと言ひたいけれども、まあどちらであつても大差のないことだらうし。「金を払つた訣でもないくせに怒るなんて烏滸がましい」と仰るならその通り。もとより怒つてなどゐません。ただ平坦になつたんです。ここで千早だの何だのとネタにするのも空々しく感じる程に。
結局伝へたいことをきちんと書けた気はしないけれども、頭に書いた通りで、これ以上自分の冷めた部分に突込んで好きだつたものを「嫌ひ」に変へないために、ここらで一旦やめておかうと思ひます。まだ目の前のねんどろいどぷちを飾つたままにしておく程度の好意までが消えた訣ではないから。