小林、スタートで出遅れ、ペレスにも抜かれて七番手に転落。ロズベルグ、シューマッハー、バトン、ライコネン、ハミルトン、ペレス、小林、アロンソ、ウェバー、マッサの順。ベッテルは十四番手。「DRSを使つてもどうしやうもないよ」と訴へる。
七周目にウェバーが新品のプライムに交換。
ニコが逃げ、マイケルが蓋をして行列が出来る。十周目に小林とベッテルとヒュルケンベルグがプライムに交換。
十一周目にライコネンとハミルトン。周囲と異なりオプションを選んだハミルトンが後から入つて先に出た。ハミルトンはピットアウト直後にウェバーを抜いた。ライコネンもウェバーに仕掛けたが、僅かに及ばない。
十三周目、ロズベルグがピットイン。その直前にマイケルがコースサイドにマシンを停めてしまつた。ホイールが外れただか緩んだだかと言つた様だが、ピットインのリプレイ映像によると右フロントのナットを締めるのに失敗したまま発進させたらしい。ダイムラー社の株主がF1活動からの撤退を求めている中、かういふ失態は頂けないなあ。
二十五周目にバトンが二度目のピットイン。マクラーレンは一回目がオプションだつたから早目に動いたか。
二十六周目に小林。こちらはプライムが合はなかつたか、オプションに換へた。その後のペースはぐんと良くなつたな。
トップを行くロズベルグのペースが落ちてゐるけれども、二回ストップで逃げ切れない速さではない。追ふバトンは三回ストップ。差は十秒以上、残り二十二周。三十五周目、二回目のピットインでプライムを選択。初優勝に向けてコース復帰。
同じく二回ストップのペレスには「あと三周耐へろ」と指示が飛んだ。しかし後ろから突き上げが激しく、その周の内にピットイン。メルセデスが動いたなら大丈夫だらう。
マッサ、ライコネン、小林、ベッテルの行列。マッサが遅すぎる! 後ろの連中はマッサより先に入つた方がいいだらうに。
三十九周目、三番手ハミルトンと四番手アロンソが同時にピットイン。順位変わらず。二番手バトンも入つたが左リアの装着に手間取つた。順位は大丈夫か?
小林は三回目のピットインを行つた後、ファステストをマーク。入賞は確実、どこまで上れるか。目下のライバルはペレスだ。
四十三周目、アロンソはマルドナドを抜かうとしてマーブルのあるラインに乗つてしまひ、コースアウト。ペレスに抜かれてしまふ。今は小林の方が速いから、喰へるかもね。
八番手グロージャン以下マルドナド、ペレス、アロンソが集団バトル。上の二台はまだ二回しかピットインしてゐないが、まさか最後まで行くつもりか。そんなタイミングだつたか?
タイムが恐ろしく詰まつて、二番手ライコネンから十三番手ディレスタまでがおよそ一秒前後といふ大行列。タイヤは皆限界で、誰が落伍するか。そんな中、ペレスがライコネンに仕掛ける、そのペレスに小林が仕掛ける、ペレスは小林に幅寄せをする、小林耐へる、二台抜いた。うーん、すばらしい。ペレスもコース上であからさまに牙を剥いたねえ。ライコネンはズタボロで二番手から十四番手に落ちて行つた。
マルドナド、アロンソ、小林がスリーワイドでコントロールラインを割つた。順位は変らず。ハミルトンがべッテルを抜いて三番手に。どこもかしこもバトルだらけで、こんなF1あつたつけ。ベッテルはウェバーにも抜かれた。
ニコ・ロズベルグが終始安定した走りで初ポールからの初優勝を飾つた。二位バトン、三位ハミルトンでマクラーレンが表彰台を固め、ウェバー、ベッテルのレッドブル勢に続いたのがグロージャン、セナのウィリアムズ勢、さらにマルドナド、アロンソ、小林までが入賞。表彰台にはコンストラクター代表としてノルベルト・ハウグが登壇し、メルセデスの三つ星が四つ揃ふといふ中々に歴史的な光景が見られた。小林はファステストラップの記録をリザルト表に残した。
終つてみれば三回ストップより二回ストップの方が多かつた。しかしその二回ストップ勢のうち、優勝したニコ以外が蓋をした御蔭で三回勢が思ふ様に走れなかつたと見ることもできて、事実二位から四位までの三台は三回ストップで、二回ストップのベッテルを最後には叩きのめしてゐる。アロンソと小林、特に小林はスタートで前に出られなかつたのが唯一最大の敗因だつたと言へよう。スタートに成功してゐれば、ウェバーに続く五位は狙へたかもしれない。ペレスも小林に勝てなかつたのだから、チームは作戦を見誤らないで欲しいと思ふ。川井氏も言つた通りで、小林のための作戦は評価こそすれ失敗と見るべきではない。