ロータス騒動の図式を整理すると、かうなるのかな。
前史
- 故コーリン・チャップマンがイギリスでロータスを設立。自動車の製造・販売と並行してF1をはじめとするレース活動を行ふ。
- チャップマンの没後、ロータスの自動車製造・販売部門(ロータス・カーズを含むロータスグループ)はマレーシアのプロトングループに買収される。F1チームとしてのチーム・ロータスは参戦継続。
- この頃、コスワースエンジン一辺倒だつたロータスが、ターボエンジンを必要としてルノーエンジンを搭載した時期がある。もちろん資本関係等は皆無。
- 1994年、成績不振と資金難によりチーム・ロータス解散。F1チームとしての名称使用権をパシフィックF1チームに売却。そのパシフィック・ロータスも1995年に消滅。
その後、時折「ロータスがF1に復活する」といふ噂が出ては消える。
んで、これと並行してあつた歴史的事実を付記しておくと、こんな感じか。
前史(裏)
- イギリスのトールマンチームがF1参戦。ここから故アイルトン・セナがデビュー。セナは翌年ロータス・ルノーに移籍する。
- トールマンをベネトンが買収、後にルノーエンジンを得て成功し、完全にルノーの所有となる。
- 「クラッシュゲート」と呼ばれる八百長疑惑によりイメージが低下、成績不振も重なつてルノーは規模を縮小。参戦権継続のために名義だけを残した状態で事実上の撤退。
とまあ、今のルノーはあくまでかつてのベネトンでありトールマンであつて、セナやピケ、ハーバート等ドライバーの移籍以外にはロータスと直接的な関係はない(ハーバートも直接移籍した訣ではないし)。
現在
- イギリスのF3チームを母体とするチームがF1参戦を表明する際、「パシフィック・ロータスの関係者から『ロータス』の名称使用権を引継いだ」と主張。
- ロータスの版権を持つプロトン傘下のロータスグループは、当初「関知しない」として反撥。
- 2010年、先述のチームが「ロータスF1チーム」として正式参戦。シーズン中にロータスグループとの関係が改善され、友好関係にあることをアピール。
- 日本GPの直前頃? に、ロータスF1チームが「来年はいよいよ『チーム・ロータス』として参戦する」と発表。
- しかしロータスグループは「そんなことを許可した事実はない」とこれを否定。法廷闘争に?
- 突然、ルノーチームがロータスグループに株を売却し、来季「ロータス・ルノー」としての参戦を発表。←今ココ
旧チーム・ロータスの名称問題で現ロータスF1とロータスグループが揉めてゐるだけでもいい加減ウンザリだつたところに、何か全然関係ない筈のトールマン風情が突然舞台に上つて話をややこしくした、といふのがワシの目に映る世界。
まあ、秋になつてからの「来年チーム・ロータスにするよ」「いやそんな話聞いてないし」の時点で、ルノーの株式取得の話が進んでゐたので手の平返した、といふところだと思ふ。法的にはどう見てもロータス・ルノーが「本家」なわけなんで、ロータスF1チームはよくて別名称として参戦継続、事と次第によつては御取潰しとなつて終了となるのだらう。でもなあ、どつちにしても「血筋」が違ふからなあ。
あと、マレーシア資本やらフランス国営企業やらが絡んで何となくワールドワイドな騒動に見えるけど、上記の通りで旧ロータス・新ロータス・現ロータス共にイギリスのちつこいコンストラクターでしかないんだよね、実質は。昔で言へばFOCA組。イギリスの片田舎で起きてゐるゴタゴタが大騒動の様に見えてしまふ、それがF1。