大和但馬屋日記

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F1魔境

今年はほぼ間違ひなく何十年か振りにフェラーリマクラーレン・ウィリアムズ・ベネトン(現ルノー)の四チーム以外からチャンピオンが誕生する。過去三十年以内にこの四チーム以外でドライバーズチャンプを獲つたのは一九八一年と一九八三年のピケ(ブラバム)のみ、その前が一九七八年のアンドレッティ(ロータス)。ブラバムロータスのどちらも現存しない。コンストラクターズチャンプを獲つたのも三十年間この四チームのみ。七十年代は他にティレルがチャンピオンを獲得してゐる。で、十中八九今年のチャンピオンとなるであらうブラウンGPは、一往ティレルが姿を変へたチームであることになつてゐる訣で、しかしワシはあれをティレルだとは絶対認めないので、無理は承知で頑張れレッドブル超頑張れ。無理かなー、無理だなー。レッドブルなら九十年代以降の新興チームによる初チャンプといふ事実を力一杯喜べるのだが、ブラウンは存在があやふやでいかん。

でもよく考へたらレッドブルの前身はジャガー、その前はスチュワートであり創業者のJ・スチュワートといへば七十年代にティレルでチャンピオンを獲つた張本人なんだな。ミナルディ(現トロロッソ)、ジョーダン(現Fインディア)、ザウバー(現BMW)は未だチャンプの夢を果し得ず、あとは歴史の影に死屍累々。「四強」の中でウィリアムズとベネトンが「新興チーム」と呼べてしまふ有様だ。ここにエンジンメーカーを加へればそれこそ枚挙に暇がなくなるが、「四強」がそれらメーカーの御蔭でチャンピオンたり得たと考へるよりは、如何な大メーカーといへどもそれらコンストラクター無しでは名声を得られなかつたとみるべきなのだ。ホンダ、ホンダ、ホンダを見よ!! それがワシの歴史観。F1史は深い闇だ。うかうかしてると呑まれるぞ。

トヨタは自らの戦ふ相手がさふいふ得体の知れない「ヨーロッパ中心の歴史そのもの」であることを自覚してゐるだらうか。