大和但馬屋日記

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イギリスGP始まつてるといふのにF1分裂とか

嘗てチャンプカーシリーズが通つた道だ。あの場合は明かに勢ひのあつた筈のCARTが結局消滅した勢力を失つた訣で、「伝統」の重みといふのは馬鹿にできないと思つたよ。それあ、インディアナポリスでやる「インディ500」のある方が勝つといふことだらうが。
その伝でいへばFOTA側に如何なる勝算があらうとも長続きはしないだらう。モナコGPもないし。といふ訣で、ワシは結局のところチャンプカーシリーズと同じ結末になると踏んでゐるし、心情的にもそちらを支持する。
特段FIAの肩を持ちたい訣ではないし、マックスとバーニーが牛耳る今のF1が理想的だとも全く思はないけれども、年齢的にみてさう遠くない未来に彼らはリタイアしない訣にはいかない。その頃に残つてゐるのがどちらかといふと、それあ間違ひなくFIAの運営するF1の方に決まつてゐる。
といふか、FOTAといふ組織に何ら信頼がおけない。だつて、メーカー連合だもの。たまにかういふことを書いてきたと思ふが、基本的にワシはF1におけるメーカー勢の存在をそれほど重視してゐない。彼らは自分たちの都合で参戦と撤退を決められるからだ。今回の分裂だつてさうだらう。そして、利害がどこかで衝突するメーカーの寄合ひ所帯がうまく回るわけもないのだ。早晩内部分裂するに決つてゐるぢやないか。だから、断言してもいい、FOTAの独立シリーズなんて巧くいく筈がない。
さういふ「必然」の話はさて措き、もうひとつ心情的に惹かれる話としては「ウィリアムズがFIAについた」といふのがある。近年のトヨタとの結び付きの深まりを見て「ああ、とうとうウィリアムズも大手メーカーに庇護を求めるやうになつたか、フランクさんも老いたしなあ」等と思つてゐたらとんでもない、トヨタの意向なんか顧みるつもりもなかつたといふ。笑。現代に唯一残るF1の、否レースのためのコンストラクターぢやないか。それあ、彼らの居る方が正しい。フェラーリにはがつかりだ。
などといつた次第で、目先のことはともかくとして長期的には落着くところに落着くだらうから、今はこの混乱状況をこそ楽しむ以外にない。
ていふか最後のシルバーストンを楽しまうぜ。

追記

FOTAに対する不信感をもう少し掘下げてみよう。
FOTAは「FIAの出したレギュレーションが気に入らない」といふ動機のみが一致してゐるにすぎない。要するに「ただのアンチFIAの集団」でしかない。今はそれで結束してゐる様に見えてゐる。しかし本当にFOTAの結束力が試されるのは、自分たちで新しいシリーズを生み出さうとするこれからの時だ。あと半年やそこらで世界規模のレースシリーズをうまく着地させられるだらうか。金銭的にも相当な無理を伴ふのに、自動車業界を巻き込むこの世界的不況の中で、参画者が皆脱落せずに成し遂げなければならないほどの強固な目的や信念はあるだらうか。彼らには動機しかないといふのに。
一方のFIAといへば、目的は昔から揺らいでゐない。「F1の存続」だ。今この時点でそのやり方が必ずしも正しいとはいへないかもしれないが、間違つてゐるのはやり方であつて目的ではない。
この差は、大きいと思ふ。

  • namnchichi ほぼ同意。 2009/06/20
  • kana-kana_ceo F1, モータースポーツ, 歴史 伝統がある方が強い。たしかに。どう決着するんだろ。 2009/06/20