大和但馬屋日記

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神の視点のシューティング

yms-zun2009-04-21

「Tom Clancy's H.A.W.X」体験版。空戦シューティング、と書いてしまふと「エースコンバット」の類似品のやうに思へるが、目指してゐる方向が少し違ふやうだ。「トム・クランシー」ブランドのゲームは沢山でてゐて、ワシはそれらを遊んだこともなければトム・クランシーの著作すら読んだこともないからいい加減な想像だけれども、ある戦況をシミュレートした空間の中に一パイロットとして放り込まれる感じ。その状況下で、与えられたミッションをこなすのがプレイヤーの役目。言葉にすると当り前過ぎて他と何が違ふのかよく分らないけれども、なんといふか、かう。ほら。やつてゐることは同じでも、物語の視点が大局的なんだな。
フライトシューティングとしては「エースコンバット」と大差ない気がする。ミサイルは何十発も撃てるしガンは弾数無制限だし挙動も力学的な考慮はなにひとつされてゐない。少し工夫されて面白いのはXボタンを押すと目標物への進路が空間内に表示されること。「Forza2」のライン表示みたいなもの。相手が飛行機なら普通にそちらへ向つて飛ぶだけだが、地上物に対してアシストラインを表示させると、なぜか上空に向ふやうに指示される。ちやんと高度を取つて急降下しつつ攻撃するラインを教えてくれるのだ。これは賢い。次世代感あるなあ。
不思議なのは、さういふフライトアシストのあるモードをオフにするとなぜか視点が客観視点に固定されること。ただの機外視点ではなく、もつと引いた「神の視点」になる。Xbox公式の紹介によると一方、アシスト機能を切れば、機体の性能がすべて解き放たれる。視界は第3者の視点に切り替わり、絶体絶命の状況をもひっくり返す、極限の超絶機動が可能になるのだとあるが、さういふものを作つた意図がよくわからない。しかし、最初に挙げた作品全体に通じる「視点の大局観」がかういふところに顕著になつてゐると考へることはできるだらう。大事なところでプレイヤーの視点をパイロット個人から「引き剥がす」といふところが、「トム・クランシー」ブランドのフライトシューティングとしての肝なんだらうな。ゲームに没入感だけを求めてゐては楽しめないと。
なんといふか、FPS(レインボーシックス)やRTS(エンドウォー)やフライトシューティング(H.A.W.X)などの全く異なるジャンルのゲームを、一人の作家の名を冠した世界観で、ちやんと意味のある色をつけて出せるといふのは凄いなあ。そんなに懐が深いのだらうか。なんせ読んだことがないので分らないけれども。さういへば以前、かつての上司がハマッてゐたのを思ひ出した。
まあ、ワシは「パイロットになりきりたい男の子」の成れの果てだから「H.A.W.X」は求めてゐたものと違ふといふか、どこかにガチのフライトシミュを出して欲しいと願つて止まないのだけど、「エースコンバットとは違ふもの」といふ点を重視すれば楽しめるかもしれん。遊んでみようかな。