大和但馬屋日記

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改めて「アイドルマスター」感想

世間的には今更ではあるが、自分のプレイ体験を書留めておかう。
プレイして思つたのは、ガチガチのリソース管理ゲームだといふこと。育成シミュレーションといふよりはボードゲームといふかカードゲームの感覚に近い。
手持ちのリソースは、五十二週といふプロデュース期限そのもの。これはつまり、手番が五十二回しかない、アイドルに対してその回数分しか干渉できないといふこと。その手番を元手に、プロデュースするアイドルのランクを上げ、かつファイナルコンサートを成功させることでベストエンディングを迎へることができる。
アイドルのランクは獲得したファンの数で決まる。ファンを増やすには、より多くのオーディションに合格してTV出演をこなさなくてはならない。
オーディションに合格するにはアイドルの三つの能力値(ボーカル・ビジュアル・ダンス)を伸ばす必要があり、そのためにトレーニングを受けなくてはならない。
オーディションを有利に進めるため、またファイナルコンサートを成功させるためにはアイドルとコミュニケーションを持つことでより多くの「思ひ出」を蓄積しなくてはならない。
つまり、毎回の手番で取れる行動は主に「オーディション」「トレーニング」「コミュニケーション(ゲーム内では『営業』とカテゴライズされる)」の三つのうちの一つ。出られるオーディションの条件はアイドルのランクの他に、思ひ出の数やトレーニングで上昇するイメージレベルにも左右されるので、バランス良くアイドルを育てる必要がある。それ以外に「休み」といふ行動も取れる。テンション管理の難しいアイドルにはこれも重要らしい。
碌に攻略情報なども読まず闇雲に進めた結果、初めてプロデュースした高槻やよいはCランクに留まつた。前半は順調にステップアップし、後半に入つてメールブーストや取材記者の効果もあつてイケイケでオーディションに出まくつた。結果的に「思ひ出」が枯渇して重要なオーディションを幾つか取逃し、Bランクへのステップアップ目前に時間切れ。コミュニケーション不足も祟つて最後のコンサートで苦労する破目になつたやうだ。
残りの週が十週を切つた辺りからの焦燥感は相当なもので、出られるオーディションの種類と各オーディションで獲得できるファン数とそれに出るために必要なやよいの能力を天秤に掛けるだけで暗澹たる気分になつた。敏腕記者のブーストの御蔭で最後に無理矢理「SUPER IDOL」のオーディションに出たが失敗。やよいよりもこちらのテンションがガタ落ちで困つた。それはともかく、後半でジタバタしても絶対にAはおろかBに上がることすら無理なのが明らかになつたところで、このゲームのガチさ加減にやうやく気付いた次第。
五十二回のターンを「ファン獲得数を高効率でとれるオーディション」「オーディションで絶対失敗しないための思ひ出蓄積」「SUPER IDOLに出るためのイメージレベル上昇」に巧く割振らなくてはならず、ここでの選択を誤ると良い結果は出ない訣だ。もちろんオーディションの失敗なんて言語道断。ターンの無駄な消費だ。
これは、しんどい。
これが例へばカードゲームだつたら、それほどのこともないだらう。三十分とか一時間くらゐの場に集中して頭を使つて一喜一憂する楽しいゲームになつたに違ひない。
しかし「アイマス」はさうはいかない。個々のターンが重たいのだ。トレーニングは五種類のミニゲームだし、オーディションは二分間の頭を使ふ音ゲーだし。コミュニケーションの音声をちやんと聞きつつ、テレビ出演も飛ばさずにプレイしたら六時間以上かかつた。飛ばせるところを全部飛ばして攻略に徹したプレイをしてもたぶん三〜四時間は掛るだらう。オーディションをオンラインプレイするとマッチングに必ず二分掛るのもある。
単純にゲームとして割切つても重たいのに加へて、当然キャラへの思ひ入れも発生する。勿論だ、さういふゲームなのだから。終盤で欲に目が眩んだかのやうに手当り次第にオーディションに突撃し、失敗した挙句に一方的に活動期間の終了を伝へ、剰へ身の丈に合はない武道館を会場に選んで大舞台でトラブルを連発させたプロデューサーを彼女はどういふ目で見ただらうか、などと想像すると遣る瀬なくなるではないか。
もちろんただのゲームだから、リベンジは幾らでも可能だ。湿つぽい別れの後、二巡目に何事もなかつたかの様に再びやよいを選択することもできるだらう。そこで、ワシの頭はパンクしてしまつた。一巡目にやつたこととやれなかつたこと、二巡目以降にやらなくてはならないこと。駄目だ、処理しきれない。
攻略情報を横目に見ながら一週毎にこまめにセーブし、失敗したらやり直すといふプレイをすればベストエンディングは迎へられるだらうし、そこがアーケード版に比べて360版がヌルいと言はれる所以でもあるのだらうが、それはやらうとは思はない。自分でやるとしたらコミュニケーションの選択肢でメモを取つてパーフェクトになるデータを集めるとか、ミニゲームのスキルを少しでも上げるとか、さういふ辺りになるだらうか。しかしそれでは一キャラあたり何周もプレイしなくてはならない訣で。しかも今回はテンションがほとんど下がらないやよいでプレイしたから良いものの、性格値の低いアイドルだとテンション管理の手間まで増える訣だ。これはワシには重過ぎる。
勿論、絶対にトップアイドルを目指さなくてはならないといふものではないから、最後までアイドルと緩くコミュニケーションを取り続けて終るといふプレイの仕方もあるだらう。それはそれでいいのかもしれない。でも、それで迎へる一年後の結末はたぶん幸せなものではないのだらう?
元がアーケードゲームであることを考へれば、それあガチな作りになつてゐて当然だ。トップを目指すためにどれだけ投資しなくてはならないか、想像するだけで身震ひがする。その片鱗をやつと味はへたといふことで、この本編との付合ひ方はもう少し考へることにする。ワシには「L4U」がお似合ひだ。
少し前に話題になつたこのMADが、今の自分にはストンと落ちた。改めて名作だと思つた。

コメントを消して、繰返して見るといい。

  • 2008年07月24日 mfluder diary, game