大和但馬屋日記

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「もっけ」七巻は凄かつた

yms-zun2007-09-27

凄い、といふのは如何にも語彙不足だが、物語に凄味を感じたのだから仕方が無い。
主に静流側の話において、極々一般的な「トラウマを克服する話」や「友人関係に苦慮しつつお互ひに本音を認め合ふ話」でいいところに落せさうなのに*1、さう簡単に「ええ話」に落してたまるかとばかりに余韻を残す。だからといつて別にわざとらしく事態を悪化させる訣でもない。
物語を描くのは読者にカタルシスを与へるためではない、といふことか。それは瑞生の地蔵のエピソードでもそれとなくテーマにされてゐて、しかしそこは作者の優しさで、登場人物を通じて軽いカタルシスを得られる話になつてゐる。
もちろん当初から「もっけ」はさういふ物語であつた筈だけれど、姉妹がそれぞれ進学したあたりから本格的に凄味が増してきたやうに思ふのだ。彼女等がちやんと成長してるなあ、と感じられる。それが何より凄い。

*1:などと呑気なことを書いたが、いやいや、御崎がぬつへふほふの肉を喰ふところは凄絶としか言ひ様がないな