大和但馬屋日記

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三年半前のワシ

「AQUA」(天野こずえエニックス)に予想外にハマる。内容が,ストーリーが,キャラが,といふわけではなくて作中の景色に心を奪われてしまつた。ン十年マンガを読んできて,こんな経験は初めてだ。独創的といへるほど独創的なわけでもなく,圧倒的に緻密な描写がなされてゐるわけでもないが,作者が描いて伝へたいといふ気持ちと,主人公がその目で見た感動とが極めて適切に描き出されてゐて,ショックさへ受けた。かう言つてもいい。感動した。ああ,びつくりした。かういふ経験をしたことに,である。
大和但馬屋日記:2002.04.22

さて、このたび「AQUA」改め「ARIA」がTVアニメ化されて、そのTVアニメ離れした色彩設計の美しさに満足しながら観てゐるわけだが。
昨晩の第二話は先の感想を三年半前に書く動機となつた「アクア・アルタ」の話だつた。もうひとつの話と併せて「ええ話やなあ」で済ませても良かつたのだが、ただひとつ、コミック版で心を射ぬかれたあの風景がエピソードごと切り捨てられてしまつたことを残念に思ふ。
描かれなかつた夜の街の代りにクライマックスで描かれた風景演出は、あくまでキャラクターの心理を代弁するための、例へるなら「カレカノの信号機」に等しいもので、それは「ARIA」に必要なものとは違ふ気がした。
先の日記の次の日あたりを見て思つたんだが、要するに「新海誠分が足りない」んだな。カメラが少しキャラに寄り過ぎ。