大和但馬屋日記

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一人オフ

江戸東京博物館に行つた。企画展である「発掘された日本列島2004−新発見考古速報展−」が目当てで常設展には行かなかつたので今回は巨大建築愛好的意図とは全く関係がない。
いやもう、行つて楽しかつたのなんのつて。石器、土器、土偶、埴輪、匂玉、管玉、銅銭、瓦等等。よくぞ今まで残つててくれました。これだけの物が残つてゐるといふことは、それだけの暮しがあり、言葉があつたのだらう。時を経て変つてしまつた物事は多いけれど、やはり昔から誰しも死を恐れたり、よりよい明日を望んだり、欲や不安に駆られたり変な妄執に捉はれて妙なものを作つたりしながら日々を生きてきたのだ。人間としては何一つ変つちやゐない、そんな当り前のことを確かめてきた。
親に連れられて退屈さうにしてゐる子供達にもさうしたことが伝はればいいなと思つたが、オレにはそれを伝へる術がない。むしろ親御さん達がさういふことを感じ取れなくてはならない。ただ珍しいものが並んでゐるだけでない展示といふのは不可能なのだらうか。

雑感

  • 旧石器時代の出土品は例の事件の後だけに色々厄介なのだらうが、その分今報告されてゐるものはより信頼のおける物になつてゐる筈で、ていふかなつてゐてほしいと思つた。
  • 縄文時代ラヴ。素晴しい。四十年前に岡本太郎が既に言つてることだけど、そしてそれと同じことを言つてる自信は全くないけれど、とにかく実に素晴しい。
  • 弥生時代だつて捨てたもんぢやないわけで。ああ、彼らが文字を知つてゐたならば。
  • 古墳時代。埴輪ラヴ。
  • 飛鳥時代、時の天皇の奇行を「狂心(たぶれごころ)」と揶揄し、それが公式な歴史書に残つてゐるとは、よく考へたら凄いことだ。
    川原寺の瓦は赤茶けてゐる。これはやはり当時からさぅだつたのだらうか。赤い瓦による伽藍といふのが今一つピンとこないが、頑張つて想像してみる。
  • 鎌倉時代元寇の水中遺蹟! あの「てつはう」の実物が! 凄い凄い。それは良いけど映像展示のナレーションで「てつはう」をその字のまま読んでゐたのには呆れた。当時の絵巻に平仮名で「てつはう」と書いてあつたら、「てつはう」と読むわけがないと思ふのだが。
  • 映像展示は五分程の尺のものが数本あつたが、揃ひも揃つて「×千年の時を超えて、今の私達に何かを語りかけようとしてゐます」云々といつた絞切型のナレーションで締めるのは全く駄目だ。考古学ものと言へばいつまで経つてもそんなんだから、伝へるべきものが伝はらないのだと思ふ。中身のない言葉で格好つけてはいけない。