大和但馬屋日記

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F1レギュレーション改定案を巡るあれこれ

先月、FIAが将来のテクニカルレギュレーションを大幅に改定すると発表してから議論紛糾といふか非難囂々なF1界であつたのだが、例によつてF1に関して決まつてないことで騒ぐのは趣味でないのでスルーしてきた。しかしまあ、その改定案の内容をメモしておくに越したことはなからうと思ひ直したので記しておかう。

  • エンジンを現行のV10型・排気量3000ccからV8型・排気量2400ccにサイズダウン
  • マシンごとのエンジンの使用可能数を現行の一グランプリあたり一基のみから二グランプリあたり一基とする
  • ECU(エンジンコントロールユニット)とブレーキキャリパー及びローターをFIA支給のものとする
  • レース中のタイヤ交換禁止
  • 参入できるタイヤメーカーを一社のみとする

以上を2008年より実施するといふのがその骨子。これらレギュレーション変更の目的は「コストダウン」「レースの公平性の確保」「安全性の向上」といふことになつてゐる。で、いろいろ非難の声が上がつたわりに、ほとんどのチームの合意が得られたとかエンジンのサイズダウンに関して2006年から適用したいとかいふニュースが今日になつて出てきてゐる様だ。
個人的にはどれも別にやつてもやらなくても構はないと思つてゐる。ただ、タイヤ交換より先に禁止するなら給油だろ、と思ふのだがそのへんはどうなのか。
それと、エンジンのサイズダウンと個数制限がなぜコストダウンに繋がるのか、誰か分りやすく説明してくれんかね。どうレギュレーションを弄つたところで、それこそワンメイクのカスタマーエンジンとかにしないとコスト削減にはなり得ないと思ふのだが。性能を追求する限り、シリンダー容量とか数とかは関係ないだろ、と思ふ。それあ一基あたりの製造コストは多少下がるだらうけど、「F1に金がかかる」といふのはさういふ部分の話ではないはずなのだ。これは想像だけど、今年の「一グランプリ一エンジン」のおかげでホンダの参戦コストが昨年までに比べて下がったなんてことは絶対にないはずだよ。
ECUとブレーキを統一品にするといふのはいい考へだと思ふが、ターボ時代のFIA供給のポップオフバルブには大きな個体差があつたといふ話を「F1 MODELING」のセナ追悼増刊号で読むにつけ、また同じ事が起るだらうと思はざるを得ない。競艇のエンジンだつてさうだらうに。
「下位フォーミュラと同じになつてしまふ」といふ批判には与しないことにしてゐる。こんなルール変更で下位フォーミュラと同レベルに落ちるほど、F1はヤワではないよ。
そんなわけで、どう転んでも賛成も反対もしない。面白くなるならそれでよし、だ。実際のところ、今このようなルール変更案を出すこと自体が2008年のコンコルド協定失効を見据えたFIAと各チームおよび自動車メーカーの政治的駆引きのためなわけで、まあ好きにしてよ、と。
あと、「トランスミッションのマニュアル化(セミオートマ禁止)」も例によつて挙げられてゐたが例によつて撤回された模様。当然だあね。