大和但馬屋日記

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穴があつたら潜りたい

虎ノ門立坑

仕事を放つぽらかして潜つてきました,東京ジオサイトプロジェクト
麻布共同溝自体はそれほど大きくないトンネルで,単調かつ無機質な空間だなあといふ印象。現代のトンネルはものすごく合理的。ただ,立坑との接合部だけは壁が違つてゐて,それがシールドマシンの外郭そのものだと聞いて驚いた。機械装置だけ搬出して,殻はそのままトンネルとして使ふらしい。なるほどねー。
キャンドルアートは「あ〜ハイハイ」としか言ひ様がないが,むしろ「工事現場をそのまま見せてくれ」と思ふオレの様な人間の方がをかしいのだらう,たぶん。それにしてもやね,実家近くの成田山大阪別院にある十二支それぞれの守護本尊を祀つた横穴(奥之院)を思ひ出すんですわ。「やすらぎトンネル」といふ名前も相まつて,妙な雰囲気だ。かういふのは,いつそ宗教性を帯びさせた方がよほどよいと思ふ。
最深部,地下四十メートルのところから東に伸びる日比谷共同溝の入口(写真右側に開いたトンネル)はなにやら金属とゴムの構造で縁取られてゐる。これはシールドマシンの部品か何かですかと訊ねると,シールドマシンの掘り始めに土砂が噴出するのをせき止めるためのパッキンだとのこと。なるほど。ここで親切に説明してくれた方が,実はこの工事の責任者だと後で知つた*1
シールド工法の説明をしてくれた別の人が「土の匂ひを嗅ぐとかいふやうなことはほとんどなくて,少しづつ移動する工場の中で働いてゐるみたいな感じですよ」と言つたのが心に残る。実際,漂ふのは冷えたコンクリートの匂ひばかり。
しばらく最底部から上を見上げて茫と佇んでゐると,上に上りたくなくなつた。さうもいかないので渋々地上に戻つてきた。

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半年後に開催された東京ジオサイトプロジェクト2の様子

*1:建設会社と同じ名前のMさんだが,やはりさういふ人なのだらうか