大和但馬屋日記

はてなダイアリーからの移行中

わりと精一杯。

id:hinasukeさんへ。
丁寧に書けば読み取つていただけるといふのであれば,こちらもその努力を惜しまずに自分のスタンスを今一度明らかにしよう。どうか敵の言ふことと撥ね付けず,落ち着いて読んでいただきたい。その上で,意見の相違がある部分について対話が成立することを心から願う。


大前提として,規約に抵触しないキーワードはすべて存在してよいと思ふ。その上で,やはり削除した方がよいと思はれるキーワードは確かに存在する。これを判断するには,いくつかのステップがあるのではないか。それを以下に列挙したい。

  1. 利用規約に反したキーワード
  2. ヘルプのガイドラインにある定義から外れたキーワード
  3. 英数字や平仮名二文字などのキーワードで,なおかつほとんどがミスヒットであるもの
  4. 同一のものを指す別称,または別のものを指す同一の言葉
  5. その他,一般的な普通名

上にあるものほど,基準はわかりやすい。下二つとなると,どちらが上かわからない。
まづ,全ユーザーが等しく受け入れるべき*1なのは,2.までだらう。
3.には「のの」「たま」「なっち」問題があり,ある程度のコンセンサスが取れてゐる。しかし,4.と5.については,規定はないし全体のコンセンサスも取れてゐない。今議論が起きてゐるのは,まさにここの問題だ。


id:hinasukeさんが問題視されてゐるのは,主に5.の一般的な普通名詞のことだと思はれるので,そちらに的を絞つて議論を進めたい。4.に該当するタンポポ問題については,何故混同されてゐるのかがわからないので,もしよろしければ説明してください。「ゴミはゴミだから」といふのは勘弁願ひたい。
さて,一般的普通名詞について,hinasukeさんはこの様に仰る。

「これ」「同意」「考え」「事」。普通名詞のキーワード化が進むと、そういう言葉だってリンク化しかねない。人によっては、「どうにも」とかもキーワード化させる可能性があります。規約にないってことを盾にキーワード登録しまくっている連中のやっていることは、そういうことだと思います。

たしかにさういふ文章はうざつたいかもしれない。しかし,規約にないってことを盾にキーワード登録しまくっている連中といふのは本当に存在するのだらうか。過去にhirusai氏と言ふ人がさうした行動を取つたことがあり,それが何人かの反感を買つたために,なんとなくデファクトスタンダードな考へ方として定着してしまつた様に思はれる。でも,本当にさうだらうか。
自分が考へるに,hirusai氏が反感を買つたのは,「キーワード登録しまくつ」たことよりもむしろ,それに対する異論にきちんと答へなかつたことにあると思ふ。「すべての単語がリンクされれば面白い」といふ理想は掲げたものの,あとはのらりくらりと対話を避けるばかりで,最後には突如はてなを退会してしまつた。私もhirusai氏の行動には感心しませんでしたが,それは主に彼の無責任さに対してであり,キーワードを登録しまくつたことにではなかつた。もうひとつ,彼は自分が日記の中で使ひもしない単語を登録しまくつたといふ点もマイナスだつたでせう。
すでに去つた人の行ひをことさらに糾弾したいわけではないが,あの騒動のおかげではてなキーワードにおける普通名詞への皆さんの反応がヒステリックなものになつてしまつたのだとしたら,それは本当に残念なことだと思ふ。それは,はてなキーワードの持つ可能性をひとつ潰してしまつたことになるのだから。


今「可能性」と言つたが,それについてはこのテキストを今一度読んでいただきたい。

自分は、「利用規約」と「ヘルプ」と,上記のテキストの精神に同意したから「はてなダイアリー」といふものを利用してゐる。そして,はてな利用者すべてがさうであることを期待してゐる。無料の一サービスにすぎないのだから,それらのうちの何かに反感を覚えるならば他のサービスを選べば済むことだ。そして,その中に「普通名詞をキーワード登録してはいけない」とはどこにも書いてゐない。
ここで,反射的に「規約に反してないからといつて」云々と言はないで頂きたい。まして少年犯罪の例へなど持ち出さないでほしい。犯罪は犯罪であり,利用規約に含まれる範囲の話だ。まつたく異なる次元の話を例へとして持ち出すと,そちらの方を信じ込んでしまふのが人の性なので,自分は例へ話は好まない。上記のテキストも例へ話といふ点で同じだが,自分はそこに込められた「精神」の方に同意してゐるのであつて,本当にはてなダイアリーを部屋とか広場と同じだと思つてはゐない。ではキーワードを登録することと人殺しをすることは同じだらうか。違ひます。世間共通の価値観とか、美意識ではかつても,違ひます。
話を普通名詞に戻さう。確かに文章中にリンクされたキーワードが頻発する様になれば,鬱陶しいと思ふこともある。しかし,普通名詞に限つた話であれば,「普通名詞のチェックボックスをオフにする」といふ対処で,なぜいけないのか。その機能を知らないユーザーがゐたとして,知らないことを知らないままにしておくのが読者のためになるのか。自分はさうは思はない。一部のヘルプも読まないユーザーのために,自分が享受できるはずのはてなダイアリーの可能性を制限されてはたまらない。さう思ひます。
もしもヘルプに不備があるなら,それをなんとかしてもらふ様具申すればよいのです。ガイドラインが整つてゐないといふなら,自分で率先して整備すればよいでせう。もぐらたたきと称して常にキーワードに目を光らせるより,その方が有益だと思ひませんか。


自分がなぜid:hinasukeさんの行為を名指しして批判したか。「通勤」キーワードに対して,hinasukeさんが,何と六回も同キーワードを削除送りにしたからだ。最初に削除予定にしたのはid:cider_kondoさんだつた。異論が出たので,私が戻した。同意もあつた。しかし,貴方は執拗に削除に移動させた。最後は折れて下さつた様だが,納得はされてゐない様だ。それは構ひません。貴方に「通勤」を必要だと思つていただくのが目的ではないから。しかし,あなたにとつて必要でなくとも,誰かにとつて必要だといふことを認めていただければそれでよい。
他のキーワードにしても同じです。hinasukeさんなり,他の人が自分の美意識に従つて「これ要らない」と思つて削除に移すのは構はない。もし登録した人がhirusai氏の様に無責任であれば,削除に移されてもそのままにされるでせう。しかし,「自分にとつては必要なんです」といふ声が上がれば,それは尊重すべきだ。議論を重ねるうちに登録者が考へを変へるかもしれない。逆に,他の人が「あつてもいいかも」と思ふかもしれない。さうなつた結果,消えるものは消える,残るものは残る。それが現実といふものだ。現実的になつてください。絶対に消えなくてはならないキーワードなんて,ないんですよ。残したいと思ふ人のゐないキーワードが消えるんです。
私が非難してゐるのは,hinasukeさんがキーワードを削除送りにすることそのものではない。貴方が自分の美意識を絶対のものだと言ひ切り,一度削除と決めたら譲らない態度を独りよがりだと非難したのだ。気に障つたかもしれません。言葉が過ぎたことは認めます。
しかし,私は貴方がかうあつてほしいと望む世間の美意識よりも,はてなの掲げる理念に従ひたい。貴方の美意識は貴方個人のものだが,はてなの理念ははてなユーザーが皆心得てゐるはずのものだからだ。
明文化されてゐない「美意識」なるものは人によつて千差万別だ。自分がをかしいと思つても,皆がさう思ふとは限らない。貴方が持つ美意識は日記の中で明文化されましたが,少なくとも私は「違ふ」と思ひ,反論した。自分の美意識が世間のそれとピッタリ一致するなんてあり得ない。そもそも,世間の美意識なるものが存在するかも怪しい。それが姿を顕すのは,自分の美意識を正当化したい時だけだ。「どうしてわからないの?」わかるわけがない,私は貴方ではないし,私以外の世間すべてが貴方ではない。貴方は、貴方だ。私はhinasukeさんを個人だと思つて何度か言葉を向けた。それに対して明後日を向いた聞こえよがしの嫌味しか返つてこないから,正直腹を立てた。hirusai氏と同じだと思つた。


誤解のない様に改めて付け加へておく。自分は,どんなキーワードも削除すべきでないとは言つてゐない。誰もがゴミと認めるキーワードであれば,削除されて当然だと思ふ。しかし,それを判定するのは特定個人の価値観によるものでも,世間の美意識によるものでもないと申し上げたい。キーワードに関はつた個人個人の価値観のなかで,一つづつ検討されるべき問題なのだ。
貴方の危惧するキーワードリンクだらけの未来像は,極端なディストピア思想です。それを恐れるあまり,弾圧的な行動を取るのが果たして現実的な行為どうか,今一度考へていただきたい。自分は,それも理想主義的過ぎると思ふ。これはid:jounoさんにも申し上げておきたい。


最後に例へ話をしませう。はてなダイアリーオープンカフェだとして,キーワードリンクはそれぞれのテーブルから漏れ聞こえる話し声だとします。
「ちょっと,アンタの話つまんないわよ,静かにしてよ!」
「でも私,この話がしたいんだし,話に乗ってくれる人もいるかもしれないし」
「じゃあその話をここでする意味について説明なさいよ。他の人の話を聞きたいなら図書館に行って本でも探せば?」
「だってそんな決まりどこにもないじゃない」
「それ,決まってなければ人殺しをしてもいいっていうのと同じよ」
こんな場で,何を話せばいいのでせうか。また,この注意する人はなぜこの場にゐるのでせうか。はてなオープンカフェであり,「談話室滝沢」ではありません。オープンカフェを散らかさない努力は個々に必要でせうが,オープンカフェを滝沢並の静けさにしようとする人を支持する気にはなれません。お金を払つて自分から滝沢に行けば済む話ですから。
以上。

*1:この「受け入れるべき」は,「受け入れた方がよい」ではなく「受け入れなくてはならない」といふ言葉本来の意味