大和但馬屋日記

はてなダイアリーからの移行中

スラントノーズ

F1でスラントノーズといへばウィリアムズFW14*1とか,近年のフェラーリF2001の様な,ハイノーズに対して先端が垂れ下がつた様な形状をさす。といふか,ハイノーズ登場まではそれが当り前だつたのでそんな言ひ方はしなかつたと思ふ。それはさておき。
「鉄道ファン」2003年12月号を買つた。阪急9300系が表紙だし,「870000kmの軌跡」は最終回だし,特集は「月光形」だし,といふわけで久しぶりの購読。
で,その特集の中でキハ183系の先頭形状がスラントノーズと呼ばれることを初めて知つた*2。子供の頃には意味がわからず,記憶に残らなかつたのかもしれない。それはよいが,平面を基調とした「スラントノーズ」スタイルを採用といふ記述が妙に引つ掛かる。
乗用車のスタイリング方面でもわりと一般的な表現で,ボンネットの前端が傾斜してゐればさう呼んで差し支へない様だ。80年代,直線的なラインを持つたクルマが流行つた頃にこの言葉も流行つたらしく,キハ183系が登場した時期とも符合する*3
「スラントノーズ」といふ言葉の意味に忠実であらうとすれば「傾斜したノーズ」であり,まあそれほど大きくかけ離れてはゐないけれども,あまり低くはない確率で「平面的な(または直線的な)ノーズ」と認識してしまつてゐる人がゐるのではないかと,ふと思つた次第。
キハ183のノーズは平面だからではなく,雪の付着を防ぐために運転台後方まで大きく傾斜してゐるからスラントノーズなのである。
なんでこんなことをわざわざ書くかといふと,オレはオレで,冒頭の様な理由でスラントノーズを「垂れ下がつたノーズ」と認識してゐたわけだ。これも,原義からかけ離れてはゐないが正しくもない。
知らない言葉は,使ふ前に調べよう。

*1:google:FW14B

*2:google:キハ183 スラントノーズ

*3:こと80年代の鉄道車両のデザインは,同時期の自動車デザインの流行と無縁ではない。100系新幹線がその代表