大和但馬屋日記

はてなダイアリーからの移行中

少しは見えたか

何だかすごいことになつてきた。

  1. http://d.hatena.ne.jp/yms-zun/20030901#1062348300
  2. http://d.hatena.ne.jp/yms-zun/20030902#p1
  3. http://d.hatena.ne.jp/yms-zun/20030903#1062528819

寄せて頂いた皆様の意見を読んで痛感するのは、自分が何を分つてゐないかが分つてゐないことである。無知の知とはよく言つたものだが、その境地をはるか高みに見上げつつ地の底を這ひつくばるのである。手は差延べられた。さて。


  • 読んでて気になったのは、ある点から発せられた光が目に届く確率が1/nであるのと、ある点から発せられた光の内1/nが目に届くという観測結果は、全然別個の話なのに、それを同じ事として捕らえてしまっているから問題を分かりにくくさせているのではないでしょうか。(あおやぎさん)
  • 「目に光が入る」「網膜に光が当たり感知する」「その情報を認識する」が、ごちゃ混ぜになっているところに、光の波動/粒子性や確率論を変な風に取り込んでいるように思います。(id:adramineさん)
  • あとぼくも、マクロなレベルや認知のレベルでの不確定性に量子論なんかをもってきてはならないとおもいます。量子論的な不確定性は、原則的にマクロな世界ではぜんぜん関係ないものなので。(id:jounoさん)

いづれもオレが何を分つてゐないかを指摘して頂いたもので、本当に有難く思ひます。
今回の疑問(といふよりも思考の堂堂巡り)はまさにid:adramineさんの仰る通りでして、本来フェイズの異なる話を一緒くたにしてしまつた所が問題なのでせう。個々のフェイズについて解説されればそれなりに納得もできようと思ひますが、思考が堂堂巡りになるとその辺の区別がつかなくなります。考へるのは主に自転車を漕いでゐる孤独な時間でして、危険ですが他にすることもないので仕方ありません。さういふ情況なので疑問点をすぐに調べるわけにもいかず、むくむくと拡がつた妄想を吟味もせずにそのまま認めてみたのが今回の一連のテキストといふわけです。言葉遊びに酔つてしまつた点も多くあり、本来人様にお見せできる類のものではなかつたと思ひますが、御陰でid:jounoさんには参考になる本を教へて頂けました。

つべこべ言ふ前にこの本を読まうと思ひます。記憶の底にアフォーダンスといふ言葉はこびりついてゐましたが、此度の思考の中に浮び上がることはありませんでした。jounoさんの幽霊にまつはる議論ともどこかで関係するのでせうね。面白さうなので絶対読みますよ。


我が愚説について。

わかりにくい比喩かもしれませんが、目の機能をブラウン管を逆にしたモノとして考えてみると、矛盾点がイロイロ現れてくると思いますが…。(id:adramineさん)

電子銃から飛んで来るビームが瞳孔を通つて来た光で、投影されるスクリーンが網膜であるといふ理解で間違ひないでせうか。さうですよね、CCDやフィルムを見れば分る通り‥‥ていふか、ピンホールカメラからして原理は同じなのであり。
昨日の段階ではそれ*1すらも「人間の目がさうと解釈するまでは反射や屈折・吸収などと同じで、電磁波にモジュレーションがかかつた状態にすぎないのだ」といふところまで行つて(逝つて?)しまつてゐたのです。時間が許せばそれも書くところでした。朝起きた時に「さすがにそれはない」と思ひ直したのですが。
でも、ブラウン管には電子銃より先に世界はなく、かつ管内には完全に制禦されたビームが常に一本しかないといふ理想的状態なんですよね。目に外界の光が入つてくるといふのは管面全体にビームが一気に投射されるといふことで、やはり真白に見えてしまふのではないかと‥‥いかんいかん。

人間の目はかなりの光量がないと感知しないセンサーだと思ってますので、反射光(無造作に飛んでいる微量な光)はかなり無視されてるのではないかと考えてます。目ラジオ説はおもしろいですね。(逸樹さん)

自分はむしろ逆で人の目は微妙な光しか捉へられないのではないかと考へてました。太陽はおろか、LEDを見つめるだけで焼きついてしまひさうなデリケートなセンサーで、本来直接飛込んで来る様な光を捉へる様にはできてないなあと、そんな風に思つたのです。で、無造作に飛んでゐる微量の光から世界を認識するにはどうあるべきかと考へたのが目ラジオでした。
それに比べると例へば昆虫の目はたぶん直接光を見る様にできてゐて(複眼を構成するそれぞれの目は一本の光線しか入らない仕組になつてゐる)、より強い光の方向へ飛んで行かうとしたり、太陽を元に方角を知覚したりするのだらうなあ、とか。


目ラジオを考へた時のオレの持つ世界のイメージは、たぶんビッグバン直後の宇宙の様なものだつたのだと思ふ。でも宇宙はとつくに晴れ渡つた後なので、世界に光が満ち溢れてゐるやうなことは、ない。


改めて、お付合ひ下さつた皆様、有難うございました。

*1:カメラが捉へて出力した画像類一切のこと