大和但馬屋日記

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たまには本の話

今月は雨だらけで自転車に乗れない分読書が進んだ。何だか読書時間を金で買つてるオマケとして自宅と職場の移動が伴ふイメージ。

第六大陸1(小川一水,ハヤカワ文庫JA,ISBN:415030727X)

面白い本は数多あれど、小川一水の新刊だけは逃さない。いづれハヤカワからも本を出すだらうと思つてゐたが、やつと出た。
お得意の「近未来的社会におけるスペシャリストもの」月面編。いつもの調子で面白い。どうやら「群青神殿」と地続きの世界の話とみて良ささうだ。ともかく続きが気になる。帯には予告の煽りとして「NASAの介入、軌道上の悲劇」なんて書いてるし。
前にも書いたけど、アレだ、ロケットとか宇宙開発をノスタルジーの枠で語るなと。かういふ若い作家が、ガンガン前向きに描いていくべきなんだ。よつてカバーは幸村誠。そのため作中最大の萌えキャラは描かれてない(笑

大化改新 六四五年六月の宮廷革命(遠山美都男,中公新書,ISBN:4121011198)

十年前の本だが、十年前のオレには何の意味もなかつただらう。「日本書紀」「(藤原氏)家伝」の記述を元に、大化改新(主に乙巳の変)の主謀者を探る内容。かう書くからには通説の中大兄皇子中臣鎌足が主謀者とする説は否定されるわけで、新たな主謀者を解き明す過程はたいへん面白かつた。この説に従ふと、その後壬申の乱に至るまでの出来事にもあれこれと納得のいく解釈が可能になる。
奈良に行きたいなあ。