土曜のフリー走行は雨で殆ど走行なし。ハミルトンは體調が惡い上にマシンの調子も惡く、豫選Q1でギアをスタックさせてコース上に停めたマシンを自分で押し始めた。いや、ピットに戻れる距離ぢやない…こんな冷静さを缺いたハミルトンも珍しいな。
Q2はエリクソンがスタジアムセクションでコースアウト、水を含んだ重いグラべルを盛大にトラックに撤いてしまつて赤旗中斷。また、リキアルドはPU交換による大量グリッド降格が決つてゐるので出走もせず。
Q3はぺッテルが地元ブースト全開でポール獲得。フェラーリ1-2かと思つたらボッタスが割つて入り、メルセデスの地元の面目を保つた。
解説の濱島氏曰く、「ここはフロントローでないと勝てません。二〇〇五年のアロンソ、その時彼は私(ブリヂストン)の敵だつたんですけど、アイツが三番手スタートから勝つたのを除いてすべてフロントローから勝つてゐます」。「アイツ」に籠つた怒氣が凄かつたよ…ハミー氏、時々怖いよね。
そして決勝。スタートは目立つた混亂なし。十五周目にライコネンが眞先にタイヤをソフトに換へてファステストラップ。ウルトラソフトでは太刀打ちできない。ヒュルケンベルクはミディアムを選擇。
二十九周目、リキアルドがストップ。パワーユニットを全取つ換へしたレースでこれは氣の毒としか言ひ樣がない。
先頭を行くライコネンはブリスターに惱まされ、べッテルはそれに付合はされてストレスを湛めてゐる。後ろにはハミルトンが迫る。エンジニアは婉曲にライコネンを説得にかかるが、あのライコネンがそんな囘りくどい話を聞く訣もなく「はつきり言へよ」とピシャリ。大人しくべッテルに順位を讓つた。
數分後に雨が來ると言はれてゐる状況でハミルトンがウルトラソフトに交換。流石に限界だつた。しかしその直後にへアピンで大雨。すぐさまルクレールとアロンソがインターミディエイトに交換、ガスリーはなんとウェットに換へた。しかしまだトラックのタイムはドライのペースを示してゐる。レインタイヤに換へた勢はすぐにドライに戻したが、第二ターン附近はひどく降つてゐるので、一度冷やしてしまつたタイヤを履くのは大失敗。熱の入らないルクレールはスピンしてしまつた。わやくちやだ。そして…
ベッテルがスタジアムヘアピンでクラッシュ。あーあ。この瞬間、「ああ、今年のベッテルは終つた」と思つた。思つたといふか、見えてしまつた。地元であれだけ速くて、順位を讓つてもらつて、これだもの。
圖らずも樂勝モードとなつたハミルトンが優勝。十四番手からスタートしての大逆轉。ハミーも當てにならねえな。まあ、誰がチャンピオンに相應しいかははつきりしたであらう。