大和但馬屋日記

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泣くことなら容易いけれど

仕事でムシャクシャすることがあつたので歸りに映畫館に寄つて「リズと青い鳥」を觀た。

音。

音。

音。

音を觀た。

水槽のポンプのモーター音に感情を動かされる映畫を觀た。

なんだこれ。人間はこんなものを生み出せるのだな。

實のところ、「リズと青い鳥」が「響け! ユーフォニアム」のシリーズであることは知つてゐたが、同じ時空の話だとはある時點まで認識できてゐなかつた。冒頭からずつと居る二人が誰なのか。「鎧塚さん」と名を呼ばれて始めて氣が付くと同時に「え」と變な形の聲が出さうになつた。

歸つてから夜も遅いのに「ユーフォ2」の第四話を見返した。なるほど、當然ながら全部映畫の伏線になってゐる。しかし映畫の直前にこれを觀たとしても、「リズと青い鳥」がこの娘達の話だと最初から氣付けた自信はない。優子のリボンを見てやつと「同じ吹奏樂部」と氣付き、それで尚のぞみとみぞれに氣付けなかつた己の鈍さよ。黃前ちやん達北宇治カルテットのモブつぷりも、緑輝が本名で呼ばれなかつたのも、彼女達の話ではなかつたからだ。勿論空氣を讀まない麗奈だけはガッツリ楔を打込んで來たが。

ともかくも、かつてなく凄いものを觀た。感動したとか、面白かつたとかぢやない。今までにないものを觀た。音を觀たのだ。