大和但馬屋日記

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シミュレーターの意義


旅行でイギリスGPがリアルタイムに觀られなかつたので「Forza 6」でシルバーストンを走つておいた。
このフェラーリ512BB/LMはシム的に、いやさForzaのエンジン的に大變面白く走れる車だ。Forzaの古いレースカーは、有り剰るパワーをブレーキとタイヤが受け切れず、ドライバーとしてはただ荒ぶる神を宥める樣に「急」のつかない操作で滑らかに乗りこなさなくてはならない。コーナーでは横Gに逆らはず、タイヤに縦方向のグリップを發生させない樣に注意を拂ふ。レイトブレーキングなんて狙つてもただ吹つ飛ぶだけで何もいいことがないので、進入前にブレーキングはきつちり終らせて、高めのスピードを保ちつつ右に左に振回されるに任す。それがForzaでオールドカーを走らせるセオリーだと思ふ。
で、この512BB/LMはといふと、さういふ古い車の性格に高いグリップ力を與へたら余裕ができたのでメリハリの利いた運轉が可能になつて、要するに踏みたい処では思ひきり踏める樣になつた。これはジャジャ馬ではなくて跳ね馬だ。樂しい。
古い車や過渡期の車の特性を調ベ盡して仔細まで忠實に再現したといふ訣では決してないだらうけれど、スペックやジオメトリ、傳達機構などのデータからシミュレーションモデルを構築した結果として、觸れる者の手にあたかも時代性の樣な手應へを感じさせてくれるのが面白いところで、それがForzaシリーズを遊び續けてゐる大きな理由だ。車が面白いんぢやなくて、車をどう再現してゐるかが面白いんだ。