大和但馬屋日記

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奥日光觀光

老神温泉。天離る鄙。

レンタカーで奥日光方面に戻る。借りたのはプリウス。あー、こりや事故るわといふ感じ。いつのまにかスピードが出てる。エンジン音がしないこともあるけど、根本的にパワーがあリすぎるのではなからうか。車のパワーつてもつと低くていいと思ふ。なんてことを思ひながら中襌寺湖へ。

男體山。美しい山だ。
中襌寺で立木千手觀音を拝み、境内をぶらぶら歩く。古い縁起の割にあまり堂宇からそれらしさが感じられないのは、明治時代に颱風による津波被害によつて一度流された後再建したからだと、後で知つた。

燈籠の鬼が可愛い。
續ぃて近くの英國大使館別荘記念公園と隣接する伊國大使館別荘記念公園へ。

黒い外觀と白い内觀のコントラストが美しい舊英國大使館別荘。一階と二階の湖側が柱の少ない開けたテラス状の空間になつてゐて明治期の木造建築としては相當に珍しい構造なのではないかと思はれるがどうだらう。不思議な佇ひである。

和風の英國建築の趣きとはまた違つた、安心感のある和洋折表の建物が舊イタリア大使館別荘。「居心地の良さ」といふ言葉を形にしたらかうなつたといふ手本。

細部の造りの丁寧さが尋常ではない。窓の外の戸袋の手を入れるところなど凝りに凝つてゐる。

中から外を眺めるだけで繪になる素晴しい建物だつた。
昼食をいただいてから華嚴瀧へ。DP2を驅使して色々撮つたが、自選べストはこの一枚。

瀧やダムを撮る時は落差が生む空間をどうにかして表現できないかといつも苦心するのだが、これは狙ひ通りに撮れた。それから、シャッタースピードが「重力加速度」を雄辯に描き出してくれた。

パノラマで撮れば空間が撮れるかといふと必ずしもさうでもなかつた。それにしても右側の斷崖は華嚴瀧が後退を續けて今の位置を得た証の様で感概深い。よくみると瀧を形造る岩盤がはつきりと二層に別れてゐて、まるで石臼の様である。中段の層の間から流れる細い瀧は中襌寺湖から地面に泌み入る伏流水か。
さて中襌寺湖から宿方向に引返して戰場ケ原を抜けた先の湯瀧に立寄る。瀧の傍にコンビニがあつて、その窓に「當店の周邊約二十五キロメートルにコンビニはありません」と注意書きがあつた。ここが栃木縣最後のコンビニといふ訣か。

湯瀧は傾斜と水量のバランスが絶妙な人工物らしさを醸し出してゐて、これが自然の造形だとしたら恐れ入る。

縦方向のパノラマ。横と違つて潰れて見える不思議。まあ、奥行方向に視線を送る動きになるから當り前なのだけれど。
また老神温泉に戻つて風呂と飯。