大和但馬屋日記

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ル・マン決勝

二十四時間べッタリとTVの前でゴロゴロしてた。一歩も外に出ず、トイレ以外は部屋からも出ず。
いつもの現地時間に関するツッコミから。由良拓也氏「日が長いから十七時に氣温が一番高いんですよ」日が長いのは關係ないですね。現地ル・マンの太陽が最も高い位置にくる時刻が十四時だから、その二〜三時間後の氣温が一番高くなるだけです。南中時刻が十四時なのはフランスが夏時間を採用してゐるのと、西ヨーロッパ標準時線よりル・マンが一時間分西の地域にあるから、合せて二時間もずれるのです。これらは日の長さと關係ない事象です。日が長く感じる様時計をずらして朝も遅くしてゐるのです。
アナウンサー「現在夕方の四時二分」もちろん夕方ではありません。現地の四時二分を、太陽の位置を基準として日本の時計に合せれば(午後)二時二分に相當するので、夕方どころか眞晝間です。西ヨーロッパの夏は時刻と太陽が一致しないので、正午に太陽がほぼ眞上にくる日本の感覺で物を言つてはいけません。以上。あ、また緯度の話してる…
まあそれはともかく、レースの話。トヨタ小林可夢偉がGTクラスを拔く光景には毎度ヒヤヒヤする。もうちよつと愼重に拔かないといつか事故るぞ、といふか去年事故つたよね。耐久レースのドライバーの仕事は何よりもまづ事故らないこと。速さの誇示は二の次でつせ。ポルシェの二號車がピットで解體中。深刻なトラブルの樣で優勝爭ひの最前線からは離脱したかな。
日本が朝になると同時に現地が夜を迎へて、例年ならここらでTV中繼が一旦終つて自分も寝るところだが今年は中繼が續くものだからダラダラと起き續け、それでもウトウトと寝落ちしてたらTVの向うが何かザワついてゐて、見たらセーフティカーが出てゐる。「コースからトヨタ二臺を排除してゐます」とか言つてる。何だなんだ。三臺が出走したトヨタ車の内、八號車がトラブルでピットに長期入院、七號車がクラッチトラブルでリタイア、九號車もパンクでリタイア。残つた八號車はコースに戻るもトップのポルシェから二十九周遅れで優勝の可能性はほぼなくなつた、と。まあ何といふか、「トヨタやねえ」としか言ひ樣がない。この時點で未だ殘り十三時間以上、七號車と八號車はレースの半分も走れないマシンであつたといふことになる。
勿論トヨタの誰もが眞面目に懸命に準備を整へて臨んだのだらうし、ましてや誰かが手を拔いた訣でもなからう。決意をアピールするPV映像などを作つて餘裕をこいたからかうなつたなんて精神論を打つ氣もない。ただ、なぜかうなるかと考へる程「トヨタだから」といふ答へしか用意できないだらう、世界中の誰であれ。昨年、二十三時間五十七分の時點まで勝つてゐたのに殘り三分弱で負けが決まつて、「あの悔しさをバネに」つていふ氣持は解るんだけど、それをキャッチコピーにして「あの悔しさは伏線だつた」とポスターやPVでアピールした時、もう落し穴に片足を突込んでゐたのだと思ふ。時間にして昨年は九分九厘八毛勝つてゐた。あと二毛、三分だけ走れば今年は勝てるなんて誰も思つちやゐないだらうが、しかし氣持としてはさういふ部分があつたのではないか。マシンをリニューアルして、三臺體制にして、速さを身につけた。設計を保守的にして耐久性に振ればいいといふものでもなからうが。
ではもう一方のLMP1勢、ポルシェは樂勝できるのかと思つたら先頭の一號車が殘り三時間五十分でストップ。序盤に早々に後退した二號車だけが生殘つてゐる。長時間のピットインの爲に總合順位ではLMP1クラスよりも前にLMP2クラスが居て、最上位クラスの總合優勝が無くなつてしまふかもしれない。今年のLMP2クラスは速いといふが、まさかこんな展開になるとは。アウディの拔けた穴は大きかつた。それでもポルシェ二號車が終盤に何とか首位に立ち、LMP1クラスの面目を保つた。
下位クラスに目を轉じると、スポーツカーのGTE PROクラスが優勝を賭けて二十四時間スプリントレースをやつてゐる。コルべットとアストンマーチンが殘り五分までテールトゥノーズの接戰を繰擴げ、最終ラップのホームストレートでコルベットのタイヤが終つてアストンが前に出てクラス優勝をものにした。二位には結局フォードGTが入つた。まさに激戰。二十四時間戰へました。
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ファステストラップも平均ラップタイムも總合九位のトヨタ八號車が記録したものだが、優勝したのは最初に戰列から離れた筈のポルシェ二號車だつた。これが耐久レース、これがル・マン
風呂に浸りながら改めてトヨタの敗因を考へたら、やはりドライバーを何とかすベきなんぢやないのかと思ひ到つた。去年も今年もメカニカルトラブルで停まつた車以外が事故を起してなければ勝ててゐた。去年の「殘り三分」は伏線でも何でもなかつたのだ。ポルシェの二臺とトヨタの三臺が互ひを意識しすぎてプッシュした結果として共倒れする樣に重大なトラブルに見舞はれた。唯一の例外だつたトヨタ九號車が事故でリタイア。敗因はこれ。昨年も小林が夜中に事故つてなければ中嶋が殘り三分で停まつても勝てた筈。機械か人か選べるものではないにしても、考へなくてはならない點だと思ふ。