大和但馬屋日記

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君の名は。」を觀に茶屋ULTIRAへ。折しも「ガールズ&パンツァー劇場版」の上映が再開されたし、二本觀るのも三本観るのも變るまいといふ訣で「シン・ゴジラ」も絡めて同じ箱で三連荘と決めこんだ。
「え、蒲田に?」「撃ちますか? いいですね?」「五、四、三…著彈、今!」「彈ちゃーく」「なんなのよぉー」「あー、こちらあさがほー*1。今上からすっごいのが來たけど氣のせゐかな」
「巨大不明生物の活動凍結を目的とする血液凝固劑經ロ投與を主軸とした作戰要綱…長いですね」「役所のすることですから」「ゴジラ凍結作戰も子供ぽいですからこっつん作戦で。敵を押しだして『えいっ』ってする作戰なので」「何よそれ迫力ないわねえ」「よしそれで行かう」「へ!?」「なるほどこっつんですか」「いいんぢやない」云々。
ゴジラガルパンを纏めて觀ると樂しいなあ。どちらの映畫もOH-1が大活躍だ(さうでもない)。しばらく家での觀賞ばかりで感覚が磨滅した耳で「ガルパン」の音響はここまで良かつたかと、改めて驚いたり。ULTIRAの底力を感じる。ていふか、音響は前より良くなつてゐると思ふなあ。そど子の「おっりゃ!」がちやんと聞こえるし。茶屋のULTIRAは本当にいい箱ですよ。何より半端でなく不便な立地だから確実に狙つた席を取れるのがいい。それを分つてて、まるで俺の爲であるかの様に狙つた作品をかけてくれるから尚いい。
とまあ、そんないい箱でかけてくれた新海誠氏の最新作、「君の名は。」。これがまた實に面白かつた。百点満点で五百点。背景美術的には六万八千点(初代機)。觀た順番が「シン・ゴジラ」の後で良かつた。東京は大丈夫。新幹線も在來線も走つてゐる。…からの「!」。あー、さう來ましたかと。うん、面白い。畫も緯麗だし、演出もよく出來てるし、話はちよつと無理矢理だけど、無理矢理ぢやないと描けないものをちやんと描いてる。良かつた。
自分が觀た新海氏の作品は「ほしのこえ」の他にDoGAで賞を取つた「彼女と彼女の猫」とゲーム「wind - a breath of heart -」のオープニング映像くらゐで、その後の作品については「ま、いいか」と流してきてしまつたのだけれど、何度も「ガルパン」や「シン・ゴジラ」を觀に通ふ度に流れる本作の豫告編の夜空の描冩に「これはULTIRAの大スクリーンで是非本編を觀たいな」と思はずにはゐられない力を感じたのだった。いつもの新海氏の「綺麗さ」だけでは濟まない構圖の見事さ、カメラの動き。豫告でこれなら本編もさぞやと思つて觀てみたら、想像以上のものを見せてもらへた。もうそれだけで大満足だし、新海氏のファンだつたらもつと樂しめたんだらうな、と思ふとさうでなかつた自分としては勿體ないことをしたと殘念がることしきりである。といふのも、これは明らかに「ほしのこえ」を作つてゐなければかうはならなかつただらうといふ内容なので、であれば他の作品についても同じであらうことは容易に想像ができる訣で、全く惜しいことをした。
ともかくも、三本共に樂しくていい映畫でした。大満足。

*1:劇場でしが聞けない間違ひ臺詞