大和但馬屋日記

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偏つてるなあ

たわば先輩の教へ、「逆光は勝利」「世はなベて三分の一」「ピーカン不許可」「頭上の余白は敵だ」。二十数年前「あ〜る」を読んだ時には何のことか判らず、さんごの「かたよってるなあ」といふ台詞を言葉のままに受取つてしまつてゐたが、今にしてみればどれも基本だよなあと思ひながらDPのシャッターを切つてゐる。これに比べれば「トライXで万全」「それを四号か五号で焼いてこそ味が出る」といふ鳥坂先輩の言葉は専門用語が判らないなりにたしかに偏つてゐると思へる訣で、何故ならば今に当てはめて考へれば「Foveonセンサーで万全」「それをSPPのX3 FILL LIGHTのマイナス値で焼いてこそ味が出る」みたいなもんで、つまり今の俺そのものであるからだ。
鳥坂先輩の方はともかくとして、たわば先輩の「ピーカン不許可」だけは今ひとつピンと来ないな、と常々思つてゐた。しかし、DPで撮つた写真をSPPのモノクロモードで焼いてみて何となく「あー」と解ってきた感じがする。光画部の活動はモノクロの紙焼きだから、デジカメのカラー写真とは仕上りに対する感覚が根本的に違ふんだな。
最近はDPで撮つたらまづモノクロにしてみて、詰らなければカラーで焼くといふ工程にしてゐる。で、昨日上げたみたいなどピーカンの写真だと、モノクロでは「もたない」感じがするのだわ。「頭上の余白」と併せて、画面に何もない空間だらけになる。カラーなら「青」が情報として乗るのでそれなりに見えるけれども。
昨日モノクロで上げたやつはどれもそれなりに調光してゐて、元のカラーのコントラストとはまるで別のトーンになってゐる。さうしないと空に「色」が乗らない。それはモノクロ写真を焼く際にも当然の様に処されてゐた筈の仕上げ方だと思ふ。
「写真はJPEG撮つて出しの一発勝負に限る、現像に頼るな」といふ価値観も解らなくはないけど、それでは撮れない「撮リたい絵」といふのは確実にあるよな。後処理はごまかしのテクニックではない。それでもピーカンでは絵にならない、といふこともまた確実にあるのだ。
うちの親父も若い頃には写真を趣味にしてゐたことがあつて、もう処分してしまつたけれど実家の押入に引延し機や現像タンクが転がつてゐたこともあった。今度その頃の話を聞き出してみよう。