大和但馬屋日記

はてなダイアリーからの移行中

マイクロソフトは本気だ

Xbox360本体の所謂「秋のアップデート」。今までも半年に一度くらい頻度で大型アップデートが行はれてきたが、この秋のアップデートは「New Xbox Experience (NXE)」と称した大規模なものとなるさうだ。ゲームの起動中でない本体機能を使用してゐる状況においては、従来と全く別の環境になると言つてもいい。いふなれば、Windows98がいきなりVistaになる様なものだらうか。む、不吉だ。
で、今度のアップデートはリソースを喰ふ。今までは本体内の専用のフラッシュメモリ領域にあるシステムファイルを更新するだけで済んでゐたのが、それでは収まらなくなつた。従つて、ユーザーは128MB以上の空きストレージを用意しなくてはならない。
Xbox360にとつてHDDは必須デバイスとはされてをらず、HDDなしのモデルが売られてゐる。メモリーユニットも、初期のタイプは64MBと容量が全然足りない。さういふ人は、自腹を切つて何らかのストレージを用意しないとNXEへのアップデートができないことになる。
その為の救済策としてとられるのが、上記の記事だ。20GBHDDを20ドルでといふのも大概だが、それよりも512MBのメモリーユニットを無料配布つてのが凄い。コスト的にどうかうといふ問題ではないんだよな。そこまでしてNXEを実装しようとする、その本気具合がすごい。
これがPCなら、皆さんVistaに移行してくださいね、Vistaを動かすには最低これだけのスペックが必要ですよと言つて、Xpのサポートもやめますよん、と言つたら世間の猛反発を喰つたりして、渋々旧バージョンのOSのサポートを続けざるを得なくなつたりもしてゐるわけだ。
そのことから学んだのかどうか、それとも全く関係ないのか、中の人でないからよく分らないけども、普段五千円の値札を付けて売つてゐるものを無料で配つてまで普及させたい、普及させなければならないと考へさせるほどのものなのだな、と思ふとNXEが何やら凄いものに見えてくる。見た目だけならMiiのパクリぢやん、といつてお終ひかもしれないけど。
たつた五千円で済むものだからバラ撒きも可能なのだとして、それにしても「そこまでやるか」といふのが最初の感想だつた。公正な取引をしませう委員会的に大丈夫なのかしらん、などと余計な心配までしてしまふ。それにしても、WindowsマイクロソフトXboxマイクロソフトが同じ会社と思へなくなることが時々あるな。
過剰に期待してゐる訣ではないにせよ、といふか「ズコー」の可能性まで含めて、アップデートの日が来るのが結構楽しみなのだ。どうせ自分の懐は痛まないのだし。さう、Vistaと違ふのは、システムを買はされるわけぢやないんだよな。
自分は、Xbox360をただのゲーム機として見てゐない。だからといつて、それはライバルの何でもできさうなイメージのノンゲーム機とか家族友人で楽しめるゲーム機とかの様な方向を目指してゐるとも思はない。マイクロソフトが目指してゐるのはXbox Liveといふサービスそのものであり、Xbox360はLiveに接続するための端末にすぎない。性能的・機能的に簡単に実現できる筈のWEBブラウザを一向に搭載する気配がみられないのは、自社のIEWindowsと競合するからぢやなくて、Xbox Liveのサービスからは異質すぎるからなのだらう。世間のインフラとして普及させつつも完全には掌握できなかつたOS事業とインターネット関連サービスを教訓に、ハードウェアからインフラまで完全に自社で掌握した統合サービスとして、Xbox Liveを支配する。それがマイクロソフトの考へてゐることだらう。技術的な先進性がある訣でもなく、文化的に高尚である訣でもない。ただひたすらに独善的で支配的なだけだ。
で、その様に支配されてゐる状態の居心地がいいなあと思つてしまふのがここ一、二年の気分かな。なんせ、支配されてゐるといつても、こちらから預けてゐるのは遊びに関はることだけなんだから気が楽だ。メールだのスケジュールだの思想傾向だのまでは預けてゐない。そこでできることといつたら結局ゲームだけなんだからさ。しかも、そこで遊べるゲームが結構楽しい。何か問題があるだらうか?


そうか、マイクロソフトはゲーム界のi-modeを目指しているのか!

http://d.hatena.ne.jp/usui_soup/20081016

レダ!!
いいことかどうかは知りませんが、「ゲームに金を使はせる」ところから大きくブレてなければ、合目的性が高く質の安定したサービスで居られるとは思ひます。WEBブラウザつけたり、Live内にパーソナルスペースやコミュニティを作れたり、マーケットプレース以外のチャンネルから他者の有料コンテンツを野放図に購入できる仕組になつていつたりするとヤバいやうな。
幸ひなことにMSの場合、「さういふことはPCでWindows Liveを利用してね」と言へてしまふから、ゲーマー的に居心地のいい空間は守られさう。外は外だからご自由に、みたいな感覚で。
任天堂NHKとの提携などで、ネットは道具として利用しつつ、さらに開かれた外部と繋がらうとしてゐて、でもゲームを通じた繋がりはあくまで最小限度に留めてゐて、これもひとつの面白い道だなあと。
もうひとつのアレは、今ひとつピンとこない。色々できるらしいんだけど結局何ができるんだらう。外のことはなんでも中でできる、といふのではね。