大和但馬屋日記

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数日前にアニメ制作者がネットへの違法アップロードについて罵倒した話

yms-zun2007-10-30

まあ、関係者がさう言ひたくなる気持ちはわかるけれども、このことに関する感想としては財布にいくら入ってるのか: オタク商品研究所plusが一番自分の感覚に近い。
十数年前に起きた、あることを思ひ出した。前にも書いたつけな。書いたわ、四年前。

ベーマガが「X68000ユーザーはゲームを違法コピーばかりしてゐる、このままでは撤退せざるを得ないといふソフトメーカーも出てきてゐる」といふ記事を書いた。その論拠として、タイトル一本あたりの販売本数がX68000本体発売当初よりも目減りしてゐることが指摘されたといふ話。構造としては今回と全く変らない。
しかしその比較対象がX68000初期の「スペースハリアー」「源平討魔伝」「ドラゴンスピリット」辺りなのだから、それあをかしな話である。「スペースハリアー」など、当時のX68000ユーザーの八割だかが購入したといふ。数字はいい加減だけど。だつて、他にソフトがなかつたもの。最初の一、二年はソフトの発売本数も多くないから、血に飢ゑたゲーマーなら少し頑張れば全部買ひ揃へることもできた。それで「X68000なら出せば何でも売れる」と勘違ひして我も我もとメーカーが参入し、しかしファミコンと違つてハードウェアの値段が十倍以上もするから市場規模は拡がらず、当然の帰結としてパイは小さくなつた。遊ぶ側は全部遊びたいからコピーに走るといふこともあつたらう。ワシは十何万円分のゲームソフトを全部新品で買つてコピーには手を出さなかつたけれども、そのために遊び逃したゲームは当然山ほどある。コピーが横行した理由の一つは明らかに供給が過剰だつたからだらう。
今回の話にしても、自分たちの作つた商品が必ず数十万本の単位で売れると思つてゐるのか。ソフトを買つてまで手許に残しておきたい作品を作れてゐるのか。作り手側はそこで勝負すべきだらう。勿論違法アップロードは法的に黒だけれど、さういふものを「宣伝してくれて有難う」と笑ひ飛ばせるほどヒットさせたのでなければ何を言つても空しいと思ふ。たぶん最初から誰にも必要とされてないんだよ、ネットにアップされただけで商売的に終るやうな作品は。それならば、ネットにアップされたところから始まる商売の仕方を考へた方が良いに決つてゐる。どうあれネットには上つてしまふのだから。