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時をたべる少女(すこし違ふ)

時載りリンネ! 1(清野 静,角川スニーカー文庫) - 大和但馬屋読書日記 - bookグループ

時載りリンネ!〈1〉はじまりの本 (角川スニーカー文庫)

時載りリンネ!〈1〉はじまりの本 (角川スニーカー文庫)

食事の代りに本を読むことで情報を摂取して生きる「時載り」と呼ばれる種族の少女と、その幼馴染の普通の少年の物語。モチーフだけ見ると「文学少女」シリーズとか「モモ」とかいろいろ思ひ出す。一方、物語の構造としては「灼眼のシャナ」や「円環少女」などに似てゐる。まあ、それらの様に血腥いアクションではないけれども。まあ、今時のラノベらしくいろんなものを下敷きにしてるな、と思つた。
一冊分の物語の中で、異種族の背景を小出しに説明しつつ話を進める手腕は「シャナ」や「円環」にも劣つてゐないと思ふ。文章も、時々引掛る点がなくもないが巧い表現を沢山持つてゐる印象。
ただ、登場人物全体の年齢設定に若干の無理を感じるのが難点。読み始めた時は彼等が皆小学生だなどと思はなかつたし、途中の展開を考へてもそれで押し通すのは無理すぎる、あるいはそれを許容できる舞台設定になつてないと思ふ。一往、現実世界に近い札幌が舞台の様だし。「りすか」あたりの影響だらうか。
続編ありきの様だが、能力インフレバトルの方向に進まなければ良いな。一見すると能力限定バトル物の体だけれども、その限定の仕方と打破り方が恣意的なので初手から実はインフレ気味ではある。特に語り手である少年が一番怪しいことでもあり。とりあへず続きが出たら読んでみる。
それにしても「透過光」はないと思つた。文脈的にその使ひ方はをかしい。メタな表現として有得ない訣ではないが、どうなのだらう。