大和但馬屋日記

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映画「日本沈没」観た

yms-zun2006-07-22

面白かつたよ。ツッコミどころや疑問点を箇条書きにしたら何十行にもなる。だからといつてそれらを全部潰したとしても今より完成度の高い映画になるだけでしかなく、それらがあるからといつてこの映画が駄目といふことにはならない。映像の出来も概ね良かつた。どうにもいただけなかつた「ローレライ」から比べたら、「樋口監督、えらいやるやん」と思つたですよ。
正直、アバンタイトルが終つてタイトルが出た後に、富士山をバックに500系「のぞみ」がこともあらうに「ぷあ〜ん、ガタンゴトン」と音を立てて走つた時には「ヤベ、地雷踏んだ」と思つた。「のぞみ」が走る音は「ドシューシューシューシューシュー(フッと音が消える)」に決つてゐる。ガタンゴトンて。‥‥と思つて身構へたのは事実。でも最後まで見通して、良かつたと思つた。あれくらゐは気にしなければどうといふこともない。
あれが面白いだなんて1973年版を観てないから言へるんだ、と言ふ人がもし居たとしても、ならばワシはその人よりは幸せだ。今作を楽しんだ後にまだ1973年版を観る楽しみまで残されてゐるのだから。羨ましからう?
平成の世の日本人像を丁寧に反映させた結果が映画として決定的に不出来に見える理由になつたんだとしたら、それはモデルになつてる世の中の方が不出来なんだよ。それを部分的にでも映し描いた今作は良く出来てゐたんではないかな。駄目だつたといふ人は、どうだつたら良かつたのか訊いてみたいものだ。
ワシの感想としては描き足りないところや敢へて無視されたであらう部分は沢山あるだらうけれども、それらがこの作品を駄目にしてゐるとは到底思へない。倍の尺になつても良いならそれら全部を解決できるかもしれないが、そんなの無理に決つてる。あの尺の中で描かれたものが監督の描きたかつたものとして、普通にそれを観たまま受止めれば良いのではなからうか。
繰返しになるけど、「ローレライ」の時は監督(と原作者)に対して「ワシはこの映画で描かうとしてゐることにほぼ全面的に同意しかねる」といふ気分になつた。今回はその反対。よくやつてくれました。