大和但馬屋日記

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ニュルブルクリンク北コースバーチャルツアー

三脚立ててプロジェクタ画面をパチャパチャ撮つてみた。撮影に使つたのは次の四タイトル。

最後のは実写映像の参考用。といつても実に四十年も前の、第一期ホンダF1絶賛活動中の風景だから、コースサイドとかがあり得ないことになつてゐるが。それあ人も死ぬて。
ともあれ、同じ地点で撮影してみた。それぞれどこにあたるかはゲーム画面のマップで確認されたい。簡単なやうでゐて、ハイパワーマシンで走れる「PGR3」でも普通にコース一周するだけで六分半もかかるので結構面倒だつたぞ。走るセクションを細かく選べる「エンスージア」はその点助かつた。

タイトル Caracciola-Karussell Exmuhle Weheseifen Dottinger-Hohe
PGR3
TT
ENTHUSIA
実景(1967)

ハードの性能差は歴然としてゐるが、同一ハードでも「TT(GT)」と「エンスージア」の表現手法の違ひが興味深い。技術レベルからいへばもちろん「TT」の方が遥かに上。しかしこれはコナミの技術が劣ると単純に言つて良い話でもなくて、たぶんSCEから提供されてゐるライブラリからして違ふんではないかと思はれる。結果的に「エンスージア」の画面はCGデザイナーの頑張りで何とかなるレベルで何とかした、といふ印象が強い。木やオブジェクトが少なくてスカスカなのは否めないが、ストレートの右手に見えるニュルブルク城のわざとらしくも幻想的な絵作りは嫌ひではない。「PGR3」なんか木が邪魔で城が見えないし。もう少し先に進むと見えてくるけれど。実写も確かに城は写つてゐるが、空の白飛びに負けて見えにくい。
ただ、「エンスージア」はワイド画面に対応してゐないのがかなり駄目な感じ。撮影時に横着して16:9で表示したままにしてしまつたために画面が全体的に横に伸びてゐる。プログレッシブ対応とまではいはないけれど、今時の乗り物ゲームなら16:9は必須でせう。
かうして見比べればゲームの技術の進歩も分り易くなる。実際、何日も「PGR3」で遊んでゐて、この撮影のために久しぶりにPS2の画面を出してみたら、あまりのぼやけ具合に「プロジェクタのフォーカスが合つてないのではないか」と本気で思つてしまつたくらゐだ。もつともこれは性能の問題ではなく、単にRGB出力とコンポーネント出力の違ひでしかないのだけれど。
「PGR3」を見てゐて思ふのは、ハードウェアの表示能力が上がると、近景と遠景の間にあるものの密度感がぐつと増すといふこと。上記のWeheseifenの画像を比較すると良く分るが、向うに見える山(いくつか先のコーナーでその麓を登ることになる山)の見え方が違ふ。遠くにあるものの情報量が多いので、思つてゐるよりも距離感が近く見える。これはもちろん、新宿のコースなどの方がよく実感できる。昔のラスタスクロール式のゲームだとコーナー一つの出口ですら消失点の向うにあつたりするのだから、さういふのとはまさに隔世の感がある。
しかしだからといつて古いマシンで動く「TT」や「エンスージア」が詰らないかといふと全然そんなことはない。「TT」の風と一体になる感じとか六速全開でストレートを飛ばしてゐるときの恐怖感は相当なものだし、「エンスージア」の車をコントロールする感覚も好きだ。
まあ、「今のコンシューマゲームの映像はこんな感じよ」といふ記録を残しておくのが今回の目的といふことで。