大和但馬屋日記

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ライトノベルで背伸び

思春期のオタクが背伸びするための小説―ライトノベルの読者年齢― - ARTIFACT@ハテナ系から思春期のオタクが背伸びするための小説―ライトノベルの読者年齢― - ARTIFACT@ハテナ系 - gobbledygookの流れ。

うちらの年代で、もっと分かり易いのは『銀英伝』とか田中禿樹*1作品全般。
もう通用しないかな?

背伸びアイテムとして田中芳樹が通用した頃ならば菊地秀行とか夢枕獏とかも思ひ浮ぶ。あと、温帯化する前の栗本薫とか。
で、思つたこと。世代限定の話かもしらんけど。その昔はまだ「ライトノベル」といふ括りがなかつたといふか、唯一ソノラマ文庫がそれに相当するニッチを獲得してゐた様に思ふ。ソノラマから始まつてハヤカワSFやJA方面、創元SF、そして「銀英伝」方面などに手を伸ばす人は少なくなかつたのではないか(もちろん人により順番に違ひはあらうが)。そこにコバルト文庫角川スニーカー文庫ができて、角川の中でも若年層向けの作品がスニーカー入りし始めたあたりが今でいふライトノベルの起りだと思ふけど、まだライトノベルの層がそんなに厚くなかつたから、背伸びしようと思つたら一般書かジャンル小説に行くしかなかつた。例へばソノラマ以外の夢枕獏を読まうと思つたらノベルズに手を出さざるを得ないとか、「銀英伝」から三国志方面へ、といつた様な。
今はライトノベルのカバーする範囲が大きくなつて、もはやそれを一つのジャンルとして捉へるのは無理がある。背伸びしたつもりで手に取つたものがどこまでもライトノベルの範疇に収まり兼ねないといふか、ライトノベルとその外側の中間に位置する作家が見当らないといふか。ライトノベルの外に出ることが格好いいといふ価値観自体も古くなつてるやうな気もする。
まあ、これはおたく分野全般に話を広げてもそのまま通用しさうな話だ。要は、団塊ジュニア世代が趣味に金と時間を好きなだけ注ぎ込むことができた時期に合せておたく分野のあらゆる市場が一気に拡大したおかげで、後の世代にとつてはそれがすでに存在して当り前の世界、そして背伸びの対象になつてゐるといふこと。
さう、当り前だけど、背伸びアイテムといふのは一世代上の人たちの間で受け容れられてゐるものなんだな。洋楽やロック然り、小説然り。アニメもさうだし、プレステ系のゲームも同じ。で、一度背伸びアイテム化したそれらは、それを最も受容した人たちの年齢とともに古くなつて枯れていくといふわけだ。たぶん、あと二、三十年経つた頃には、今おたく文化と言はれてゐるもの全般が背伸び対象ですらなくなつて、枯れた趣味になつてゐるのではないかな。その時にはまた別の何かが若い世代を支配してゐるのだらう。それが何かは想像もつかないといふか、想像するだけ無駄だけど。
いつもながら、まとまらない。

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*1:引用注:「ATOKが変な憶え方しているがそのままで」とのこと