大和但馬屋日記

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人は生き延びることができるか

復活の地 I(小川一水,ハヤカワ文庫JA,ISBN:415030761X)復活の地 1 (ハヤカワ文庫 JA)

小川一水が得意とする、極限状況に追ひ込まれた人々を描くSF小説。全三巻予定。
全三巻にしては立上りがゆつくりな気もするが、飛ばすべきところは飛ばして描ける作家なのでその辺は気にしなくてよささう。
異世界といふか、架空の未来世界が舞台だが「導きの星」とは別の宇宙なのだらう。地震で崩壊した都の描写の中で畳み掛ける様にその世界の文化程度を理解させる様は見事。実のところ、現実の東京に対比してイメージし易く作られてゐるといふことでもある。人物に関しては銀英伝ばりの「適材適所」ぶりが少々気にかかるけれど、それも持ち味として楽しむべきなのだらう。
地震の原因について読みながら想像してゐることがあるのだが、それが当つてゐるかどうかが目下の興味。仮に当つてゐたとして、それがどう物語と絡むのかはとんと想像がつかないのだが。外れた場合はなほさら。
細かい点だが「檄を飛ばした」の(たぶん意図的な)誤用と文語調の通信文は、できればやめてほしかつたな。特に後者には意味がない。