大和但馬屋日記

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慣性に重力や空気は関係ないよ

ヘリコプターでちよつとググッて、こんなのを見つけたのだが。

質問はともかく、ベストアンサー含めそれに対する回答のほとんどが説明レベルで間違つてゐるのでモニョモニョする。説明が間違つてゐないのは二例のみかな、何も説明してないものを除いては。
特に多いのが、「地球には重力(引力)があるから一緒に回ってしまう」「空気があるから以下同文」といふ勘違ひ。どちらもこの質問に対する回答としては誤つてゐる。
ヘリコプターが空中に浮いただけでは自転に取り残されることなく一緒に動いてしまふ。言ひ換へると地表から見て静止する様に見える。これは事実だ。但しその理由は、重力が働いてゐるからでもなければ空気があるせゐでもない。地球の自転による回転角速度が、地面を離れる瞬間のヘリコプターにも与へられてゐるからだ。もう少し簡単にいふと、「自転の慣性の力がヘリコプターに働いてゐるから」。地球上の重力がどうだらうが(無理な前提だけど)、空気がなからうが(ヘリは飛べなくなるけど)、この件で問題となる慣性の力それ自体にはなんの影響もない。
単純に、西向きに二十四時間で地球を一周する乗り物があれば、それが回答者の求める状況に一致することになる。本件についての数少ない正しい答の一つがこれ。赤道上ではないが、例へばハワイを正午に出発して成田に正午に降り立つ旅客機があれば、それは本件に合致することになるだらう。要するに、太陽と自分の位置関係が変らない状態であればよい。しかし現実の旅客便では、正午にハワイを出た飛行機が成田に着くのは午後三時頃となる様だ。ジャンボジェットの速度では到底地球の自転には追ひつけない訣だ。ましてヘリコプターなんてとんでもない。慣性に逆らふといふのは、それあもう大変なことなのだ。

以下余談

もう少し厳密な話をすると、地上から垂直に投げ上げた物体が地面に落下したとき、その場所は元の場所と完全に同じではなくて、ほんのわずかに元の場所から西にずれてゐる。自転の中心から遠くなる(地表からの高さが高くなる)ほど、自転による回転角速度も大きくなる。地表から投げ上げた瞬間の角速度は、それより高いところで働くであらうと想定される角速度よりも小さいから、物体が滞空してゐる間はその速度差分だけ僅かに自転に取り残されることになる。だから、単純に浮上するためだけの鉛直方向に働く力だけを使つてヘリコプターが滞空し続けることが可能かつ風の影響を一切無視するのであれば、途方もない時間をかければ地球を一周することは可能だ。もちろん、二十四時間では到底無理な話だが。あと、赤道上でないと元の場所には戻つてこられないだらうね。

さらに補足

もちろん、ヘリコプター(に限らず地上の一切の物体)に地球の自転と同じ角速度が与へられてゐるのは引力によつて常に地表に引き留められてゐる御蔭だし、ヘリコプターが飛べるのは空気がある御蔭なんだよ。

残酷な物理計算

ある俳優が地上九階の高さから転落して怪我で済んだ事件に関して、落ちた高さと落下地点から衝突エネルギーとか水平方向の射出速度とかを割出すのがあちこちで流行つてゐるが、それらを眺めてゐて思ひ出したのは「新明解ナム語辞典」に載つてゐた、ソルバルゥ*1の飛行高度をブラスターの投下速度から割出す記事のことだつた。それによると、ブラスターが水平投射であると仮定した場合、ソルバルゥは地上すれすれの高さを飛行(といふか浮上走行?)してゐることになり、あらゆる地上建造物*2の上を越えることすらできないんだと。実際のところ、ブラスターはエネルギー弾だから水平投射つてことはないだらうけどね。遠藤雅伸氏がドット絵に凝つて放物線軌道を描いてゐる様に見せてしまつたから逆にツッコミどころになつたといふことか。
まあ、いろいろ考へるもんだ。
いや、実のところキーワード「新明解ナム語辞典」にリンクしてみたかつただけなんですがね。

*1:ご存知「ゼビウス」のプレイヤー機

*2:影の長さから高さを算出できる